立川流追善落語会

昨日21日は立川談志さんの命日。一周忌でした。一門による追善公演があったので行ってきました。よみうりホールです。21日から3日間行われ、毎日プログラムや出演者は変わります。志の輔さんの出る日を選んで21日に。しかも命日ですからね。

先ずは一門の直弟子が勢揃いでご挨拶(談春さんは欠席)。立川流志の輔さんを筆頭に若い方々しか知らないので、年配のお弟子さんもいるのだと驚きました。
挨拶に続いて、泉水亭錦魚(せんすいてい きんぎょ)さんの「権兵衛狸」。床屋の権兵衛、いたずらの狸を捕まえたけれど命だけは助けてやるが懲らしめのために頭を剃るのです。で、次の晩また狸がやってきて「親方、今度は髭剃っておくんなさい」。おちがいいですね。

志の輔さんは「三方一両損」。奉行の大岡越前守のお裁きのお噺です。左官屋と大工の喧嘩仲裁。拾った三両を貰う貰わないのもめ事で、越前守はその三両を受け取り、一両出して二両ずつ両人につかわし、「2人とも三両入るところを二両となったのだから一両の損。奉行も一両出したのだから一両の損。これ呼んで三方一両損なり」の裁きです。(マジックみたい)。
この後、越前守のはからいで膳が出ますが両人喜んで食べようとすると、奉行がいかに空腹だからと言ってあまりたんと食するなよ」と言います。それに二人が
「へぇい、多かぁ(大岡)食わねぇ」・「たった えちぜん(一膳)」と答えておち。

立川左談次さんの「阿武松」。大食漢の相撲取りがあまりにも大食いのため破門になり故郷にも帰れず自殺を考えるけれど死ぬ前に今一度ご飯を腹一杯食べて死のうと飯屋に入りますが、その飯屋の亭主に食べっぷりを見込まれ、まあスポンサーですね今で言う、横綱にまで出世するというお離しです。

土橋亭里う馬(どきょうてい りゅうば)さんは立川流の新代表です。演目は「富久」。幇間の久蔵が仕事もなく金もない生活をしているところ買った富くじが大当たり、しかしその当たりくじ鶴の千五百番は火事で焼けたと思って自分の運のなさに嘆くところ、実はくじは無事であったという人情離しです。

「談志DNA対談」ではご長女の松岡弓子さんとご長男の松岡慎太郎さんの想い出話です。遺言でお骨は何処何処に散骨してくれということだったので、そのうちの一つ沖縄の海に散骨したそうです。生前談志さんは海が好きでシュノーケルで魚を見るのが楽しみであったとか。お骨をまいたところ魚がわっとよってきてお骨を食べちゃったと。「パパ、魚に食べられちゃったよ〜」。ユーモアを交えて話してくださり面白かったです。
談志さんは勝新太郎さんとか西川きよしさんたちと同じ破天荒な人たちの部類に入れられるけど、実は家族思いの子煩悩な家庭人だったらしいです。赤ちゃんの慎太郎を抱いて「よち よち」とやっていたとのこと。意外な一面を知りました。
生前なまの談志さんの落語を聴く機会を逸していましたことが残念です。亡くなって改めて知る存在の大きさです。