立川志の輔 独演会

今年年始めのパルコ劇場の独演会のチケットは手に入らず残念な思いをしましたが、東京都足立区の西新井文化ホールの独演会のチケットはゲット出来ました。
昨晩25日行ってきましたよ。足立区に行くのは初めてです。特に地縁もないですから。いややはり遠いですね。東京の北の端、スカイツリーの先です。もう隣は埼玉ですものね。

さて、当日の演目。独演会とはいうもののお弟子さんの志の彦さんの前座があります。これは仕方のないこと。師匠の立川談志落語協会を脱会しましたから寄席には出られなくなったんですね。一門会とか独演会でしか機会が無いわけです。「金明竹」は寿限無に並ぶ言い立ての噺ですが、早口でまくし立てる上方言葉がよく分かりません。そこから招く誤解の面白さ。ちんぷんかんぷんの女将さん同様、私たちもちんぷんかんぷん。よって今ひとつ分からなかったです。しかし志の彦さんは関西出身?と思わせるような流暢な関西弁でした。

志の輔さん登場。先ずは最近話題の話。富士山の世界遺産登録や選挙の話など。あの選挙報道テレビ、開票5%ほどで当確が分かってしまうのに合点のいかない志の輔さん、統計学の教授に訊ねたそうです。「いいんです。5%で分かるもんなんです」と教授。「いやいや5%で分かっちゃいかんでしょ。後の95%に何があるか分かりませんよ」とくいさがる志の輔さん。すると教授は「いいですか、大きな大きな鍋にみそ汁を作ったとします。味見するのにあなた、どんぶりで味見しますか? しませんでしょ。それと一緒です」 妙に納得。確かに沢山作っても味見は小皿に少しですもんね。

「買い物ブギ」。奥さんが風邪で寝込んでしまい風邪薬とその他日用品の買い物を頼まれた旦那さん、ドラッグストアに出向きます。そこで新米店員とのやりとりが繰り広げられます。例えばトイレの消臭剤、まず種類の多さに驚き中から「森の香り」を選び、いいねぇ〜トイレで森の香りがするのはいいよな。でも森に行ったときにトイレの匂いを思い出しちゃうとまずいよな。というようなへんちくりんな話が続き最後は薬屋らしいオチでおさまります。

古典「井戸の茶碗」。正直者のくず屋の清兵衛、長屋に住む貧乏浪人 千代田卜斎から仏像を預かり、それを細川家の家来・高木佐久左衛門が買い取ってくれました。汚れた仏像を洗い磨いていると底の紙が破れ中から50両が出てきます。これをくず屋の清兵衛に頼み千代田に返すことに、一旦手を放したものはすでに私のものではないと受け取らない千代田、いやいやそうはと高木。ふたりの間を行ったり来たり憔悴するくず屋の清兵衛。大家に相談。50両を千代田・高木に20両、間に入った清兵衛に10両の案を提案しますが、納得いかない千代田は普段使っている茶渋で汚れた古茶碗を渡し20両を受け取ります。その古茶碗がまた名器の井戸茶碗であったことから細川のお殿様が300両で買上げ、またまた清兵衛が呼び出され千代田と高木の間を行ったり来たり。。。。最後は千代田の娘が高木の所へ嫁入りと目出度しメデタシで終わります。


ちなみに井戸茶碗は、朝鮮茶碗の中で最高と愛でられた茶碗です。朝鮮では民衆向きの量産品で作りも乱暴な茶碗ですが素朴な形、釉薬の予期せぬ出方などを茶人達はわびとして評価し、一井戸二楽三唐津と最上にされています。高麗茶碗の味わいは井戸に尽きると云っていいでしょう。
写真はその代表的な茶碗「喜左衛門井戸」。国宝です。