善田昌運堂さんの茶会

善田昌運堂は新古美術品の主に茶道具を扱うお店です。京都本店と東京銀座店があります。
その東京銀座店で善田さんが亭主となられる茶会に、先生のお供で社中3名で同行させてもらいました。善田さんのお店なんて私どもは遠くとぉ〜くの存在であり、敷居があまりにも高くてとても近寄ることができません。先生の傘の中に入れていただいて恩恵に預かれるというものです。写真はお店の中にある茶室です。ここでまずは濃茶をいただき、席を変えて懐石風点心をご馳走になり、茶室に戻って薄茶をいただく、茶事です。
お道具はさすが日本一と言われるほどのお店ですので素晴らしいお道具ばかり。茶道具に歴史が脈々と息づいていること感じざるを得ません。でるのはため息ばかりですが、こうして手に触れさせていただける喜びも大きいです。美術館ではもちろん手に触れさせてはもらえませんからね。
※写真は善田昌運堂さんのHPより やはり茶会での写真は控えさせていただくのがマナーゆえに


    
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善田さんといえば、あのナショナルの創業者 松下幸之助さんとの交流は有名です。このときにも話題となりました。ご自宅に茶道具をお持ちすると「高いな。うちのテレビが何台買えるとおもうんや」と。さすが大阪の商人さん(笑)
写真は徳田樹彦論叢「松下幸之助 第5号」(2006年4月)からです。
この記事によりますと幸之助氏とお茶との出会いは、昭和12年42歳の頃、田中車輌の田中社長の「萬里荘」のお茶会に招かれたことから。田中氏は当時茶道をする数少ない財界人でありました。当時の善田昌運堂の社長 善田喜一郎とも田中社長を介して紹介されたようです。裏千家十四代淡々斎との交流も始まりました。淡々斎の温厚な人柄と茶道に対する真摯な精神にひかれ、終生のおつきあいとなるのです。
幸之助氏も多くの名物道具を購入し「松下美術館」の構想もおありのようでしたが、茶道の中の日本の伝統文化・精神文化普及のほうに強く関心を持たれます。茶室をいくつか寄進されています。その趣旨は「より多くの人にお茶の心を、そして素直な心に」。


この幸之助さんの柄杓を構えたお姿のなんと自然体であられることか。今まさにお客様のために心を込めて一服のお茶をさしあげる。そんなお気持ちが身に備わっていますね。私たちも精進精進です。