大名茶人 「松平不味の数寄」 at 畠山記念館



出雲国松江藩七代藩主の松平不味(まつだいらふまい)は大名茶人といわれるほどに多数の名物茶器を所有しました。
不味の蒐集品は、「雲州蔵帳」の茶道具として今日でも高い評価を受けています。(蔵帳とは茶道具の目録) 
今回は特に「雲州蔵帳」記載の名茶器を10年ぶりに一挙公開とのこと、出かけました。












不味は若くして茶道の奥儀に達したと聞きますが、確かに井戸茶碗の「細川」は28歳、唐物茶入の「油屋」は33歳で蒐集しています。藩の財政も豊かだったのでしょうね。江戸時代後期の方です。不味様、なかなか渋いっすね。頭 でかいっすね。
蒐集茶器を歴史的背景や美的な側面から宝物・大名物・中興名物・名物と格付けし整理分類をした茶人です。享年68歳。
不味公の掌中の珠と言われる茶入「油屋肩衝(あぶらやかたつき)」も展示されるのでそれが楽しみです。





重要文化財 唐物肩衝茶入「油屋肩衝」(肩衝とは茶入れの形。肩がはっきりとついているものをいいます)
油屋とつくのは堺の豪商でありの堺茶の重鎮・油屋一族が所持したことからです。世は戦国時代、様々な権力者の手に渡ります。秀吉〜毛利輝元〜 〜 〜徳川家光〜 〜 〜松平不味〜出雲松平家〜と伝わりそして現在は畠山記念館の所有です。

油屋肩衝は典型的な唐物肩衝です。口径が小さく肩ははっきりと張り胴ははふっくら柔和です。柿色の下薬に黒上薬がかかりなだれも多くてどちらかといえばにぎやかな景色。この釉薬の印象が強いですね。高さ 8.3cm 胴 8.0cm と手のひらにほっこりいっぱいに収まる かなり大きめな茶入です。南宋時代の茶入れは大きめです。
松平不味は33歳の時に家運の傾いた冬木一族より1500両で購入したと伝えられています。今で言うといくら??さっぱり分かりまへん。
不味は茶会で一度も使うことなく第一の宝物として蔵に入れたと。家老でさえ一生に一度拝見できるのみであったらしいです。
不味の言葉に「天下の名物にして一人一家一国の宝にあらずと知るべし」とあります。つまりは「個人所有とはいえ天よりお預かりしている物と思い、大切に後の世に残すのですよ」という教えですが、蔵にしまい込んじゃちゃ何だわねと思ってみたりします。が、それだけ大切にされ後々まで伝わり、士農工商、5・6が無くてイベント業界のオバハンがこうして見せていただける、今の世のありがたさ ですわね(微笑)。茶器は特に伝来を大切にします。
不味公の筆跡が個性的で印象に残りました。箱書きの銘などの画像が無いのが残念です。
※写真は畠山記念館のホームページより