けんかなら まけへんで

これは長男が小学一年生の時に言った言葉です。
名古屋から大阪、東京、そして、また大阪と夫の転勤とともに住まいが変わりました。
大阪から東京に転勤になったときに、教室で先生から紹介があって、みんなに向かって言った言葉です。涙をぬぐいながら言ったのです。
ああ、親の転勤に伴う子の転校、子にとってどんなに辛いことかと母親としてしかと受け止めました。学校が変わる、それは子にとってどんなに不安で緊張で胸もさけるばかりであったかと。
長男は体格もよく、喧嘩には自信があったのでしょう。


夫の家族も義父は銀行員で2〜3年ごとに転勤があり、それは子にとって大きな負担であったと。友達が出来ても別れなくてはならない。それが辛くて真の友達をつくることから遠ざかると、夫は話します。
夫の家族の場合、中学生まで続いたのです。
義母も段ボールを開けずじまいのものもあったと。

新しい場所でみんなに受け入れてもらうためには、、、夫は勉強で自己アピール。義弟は勉強は好きではなかったのでつっぱって生きる。やんちゃしたそうです。
それも分かります。子供も一生懸命なんです。

うちの長男の「けんかなら、まけへんで」。それは忘れられない子の姿・言葉です。

父親は家族のために稼ぐと思っているから、転勤でついてくるのは当然と思っている、少なくても当時は。
父親だって転勤先では苦労がありますものね。
子のつらさ、妻のつらさも理解まで気が回らない。
親も辛けりゃ、子も辛い。



義母がぽろりとそれを言葉にしました。でも義父は受け止められない。

そのときの辛さは尾に引くものなんですね。
病院で義母は「もうお父さんには逢いたくない」と言います。
元気でいると聞くだけでいいのです。

でも義父は「私を待っているから、行かなくちゃ」と通います。

寂しいかな、夫婦って実は全然分かり合えていないものかと思う、今日この頃です。