映画 「おみおくりの作法」


今週のお題は「ふつうに良かった映画」ということですが、この映画は「静かにとても良かった映画です」。上映館はシネスイッチ銀座。こういう渋くて良い映画を上映しているミニシアターです。
女優の片桐はいりさんが学生時代から7年間、入口のもぎりのアルバイトをしていたそうです。「もぎりよ今夜も有難う」という本にその間のエピソードを書いているとのこと。タイトルからして面白く、期待できそうではありませんか。読みます!

さて映画「おみおくりの作法」のあらすじは、ロンドン市役所の民生委員として働くジョン・メイは身寄りのない孤独死した市民を葬儀するのが仕事です。実直なメイはだれも葬儀に来ない死者を一人で弔います。個々の死者の宗教や音楽の趣味を尊重して丁寧に弔います。
そんなある日、上司から丁寧すぎて経費もかかり効率の悪いメイの仕事ぶりに解雇を言い渡されます。最後の仕事となるビリー・ストークを弔うにあたって、彼の遺品を整理しているうちにアルバムを見つけます。44歳で友人も家族も居ないメイ、自分の最後も重なったのでしょうか、ビリーの交友関係を探し出し、娘も探しだし葬式に参列して欲しいと持ちかけますが、どうも快い返事は聞かれません。やはり自分一人で弔うつもりでいましたが・・・・・
これ以上はネタバレになってしまいますのでここまでにしますね。とにかくラストシーンはとても静かに私たちの心に響きます。最後まで淡々と描かれる映像は地味で音楽も押さえられ、途中ちょっと眠くなりますが(何を隠そう、私は数分眠ってしまいました)、ここは起きていましょう。(眠ったことちょっと後悔しています)特に最後の15分は。
原題は”STILL LIFE"  stillは静かなという意味です。邦題の「おみおくりの作法」となると、日本の少し前の「おくりびと」や今上映中の「悼む人」を連想します。そこは少し違いますが、死者を誠心誠意弔う主人公は共通しているといえます。
日本ばかりでなく、イギリスでも他の国でも孤独死は世界中の問題なのですね。