お正月とあって吉祥画題の日本画が展示されています。長寿・子宝・富と繁栄をテーマとした幸福への願い、せめて絵画でお裾分けしていただきましょう。ましてや「若冲」ときいて行かずにはおられません。
展示されている作品はほとんど山種美術館所蔵。どんだけのお金持ちなの！ 独り占めせずこうして美術館として保存され後悔していただけるのは下々には有り難いことです。海外流出されることもないでしょうしね。
伊藤若冲「群鶏図押絵貼屏風(ぐんけいず おしえばり びょうぶ)」
若冲の絵画はよく観てきましたがこの屏風は初めてです。それもそのはず個人蔵（どうも京都のお寺の所蔵のようです）。今までに頻繁には展示公開されなかったわけかと納得。若冲の収集家としてはジョー・プライス氏が有名ですが、彼の手には渡らなかったのですね。6羽の鶏が表情豊かに描かれ、筆の使いも伸びやかですね。
若冲は群鶏の屏風をよく描いておりますが、墨画のものは珍しいのではないかと思います。墨の濃淡で表現する筆力に脱帽です。
伊藤若冲 「河豚と蛙の相撲図」
今回の若冲の作品は墨画の展示が注目です。この絵もユーモラスですね。なんでフグとカエルが相撲をとその着眼点に若冲らしい動物を擬人化した作品のひとつです。お互い腹がぷよぷよぶつかり合うのでしょうね。楽しい想像ができます。
河鍋暁斎 「浦島太郎に鶴と亀」
松竹梅に鶴と亀。そして浦島太郎は長寿を表すとか。まあラッキーアイテム総揃い。それぞれの躍動感が吉祥を感じさせてくれています。
観てくださいよ、真ん中の鶴の構図のすばらしさ！ 普通鶴なら姿全体を描いてその美しさを表現しますが、顔と首だけで十分です。姿が想像されます。
う〜ん、モダンの一言につきります。こういう構図は海外の画家にはないのではと思いますね。大胆なはっとさせる日本画。
これからも、もっともっと日本画に触れていきたいと思いました。
※画像はチラシとHPから
