2016年4月の俳句

小夜の雨柳となりて垂れゆきし (さよのあめやなぎとなりてたれゆきし)

大降りの雨ではありませんでした。しとしとと柳をぬらす雨。雨が柳の滴となりました。季題は柳。



春光を丸めて口へ朱き鯉 (しゅんこうをまるめてくちへあかきこい)

季題は春光。輝かしい春の陽光です。今年は春が来たと思えば冬に戻ったり。落ち着かない春の始まりでした。水面の光、鯉も召し上がれ。



山吹の雨靄染めていよよ濃く (やまぶきのあめもやそめていよよこく)

家の近くに池上梅園がありましてそこに山吹を見つけました。朝散歩で小雨の中ちょっと寄り道。山吹色が靄で惚けるよりも更に靄までも山吹色にしていました。季題は山吹。



求愛の見得きる螯汐まねき (きゅうあいのみえきるはさみしおまねき)

季題は汐まねき。雄だけが片方のハサミが大きいのですね。潮が引くと穴から出てハサミを上下に動かすのですが、それが汐を招いているように見えるのでこの名がついたとか。また一番に高くハサミを上げる雄を雌は選ぶとか。そりゃ大変だ! 「雄なのでこんなハサミを持たされて」って心境ですかね。
カニやサソリなどのハサミの漢字は「螯」を使います
※写真はWikipediaより



夕星に浮かぶ白さや雪柳 (ゆうずつにうかぶしろさやゆきやなぎ

季題は雪柳。昼間はその白さもまぶしい日の光で黄ばんで見える気がしますが、日がかげった夕刻には白さが際だって見えました。一番星も見つけましたよ。