2016年5月の俳句

地震の地は飛ばして来いよ梅雨の入り  (ないのちはとばしてこいよつゆのいり)

沖縄はすでに梅雨入りしましたが、熊本・大分はせめて今年だけでも飛ばして欲しいと願います。農業などには雨も必要ですが大雨ですとさらに被害が出てくるとも限りませんので。季題は入梅(梅雨に入る)



更衣白き腕に風とおる (ころもがえしろきかいなにかぜとおる)

長袖だったブラウスも半袖になり、肌も涼しい風を受けて嬉しい。これも季節がくれる幸せですね。長いこと日に触れなかった腕も白いのです。季題は更衣。



警官の漕ぎしペダルの薄暑かな  (けいかんのこぎしぺだるのはくしょかな)

うちの最寄り駅には第二京浜国道が走っておりまして、緩い坂が長〜く続きます。自転車でパトロール中の警官、信号でふっと一息。うっすら汗も。お巡りさんの自転車は電動式ではないのですね。そりゃそうか(笑) この辺りは急な坂も多く、事が起きたときにすぐに駆けつけられるかしら。電動にすればいいのにと思う今日この頃です。季題は薄暑。初夏5月頃の暑さをいいます。歩いていてうっすら汗ばんでくる様子です。



茄子植ゑて年相応のくらしぶり  (なすうえてとしそうおうのくらしぶり)

知り合いがリタイアして家庭菜園をされています。茄子を始めいろいろな野菜を育てています。収穫祭には呼んでいただけることになっていて楽しみです。季題は茄子植う(なすうう)。茄子苗を畑に移し植えることです。







茶道も5月からは風炉に変わります。
それで兼題に「風炉」が出ましたので3句詠みました。











風炉や水屋仕事に気も新た
(はつふろやみずやしごとにきもあらた)

炉から風炉に変わりますと、香合もお茶碗を始め柄杓もお道具は夏用に整えます。お点前が始める前の支度を水屋仕事といいます。写真は水屋です。先生宅の水屋と似た写真を載せます。6ヶ月炉のお点前が続きましたので気も新たにお稽古に臨みます。




風炉茶杓の銘は唐衣  (はつふろやちゃしゃくのめいはからころも)

お茶碗はもちろんのこと茶杓にも名前が付けられます。
在原業平伊勢物語で詠んだ和歌
「唐衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬるたびをしぞ思ふ」
現在の愛知県知立市の八橋で見事な杜若を讃えました。これでこの季節の銘には「唐衣」がよく使われます。
茶道は季節感を大切にするので、お稽古の時のお道具拝見では季語を拝借。失敗しません。





花入は籠となりけり風炉点前
(はないれはかごとなりけりふろてまえ)

籠の花入は風情がありますね。籠もいろいろあってそれも楽しみな夏の取り合わせです。