メアリー・カサット展 横浜美術館

さすがこの暑さ、へこんでいます。朝夕のウオーキング(って、最初の10分だけですわ、ウオーキングといえるのは。。。はい散歩です)も夕方はいくら水を飲んでも熱中症状態になります。ですので夕方はこのところ止めております。まぁ歳ちゅうことですわね(あっ、皆さん、ここは頷くところではありませんよ)。

リオオリンピックのサッカーは日本、ナイジェリアに負けました。前途多難な船出と相成りましたです。それだけで疲れてしもた(笑)

それで、気分を変えることにしましょう。 7/31に行ってきました。そのご紹介です。


2種類のポスターがあります。両方とも彼女の作品として有名ですね。カサットの代表作母子像「眠たい子どもを沐浴させる母親」すっかり安心して身を母に委ねる子供。この脚のダラリ感がいいですね。
黒いドレスの「桟敷席にて」 19世紀後半はオペラや演劇鑑賞はブルジョワジーの最高の娯楽であり社交場。黒いドレスの女性は必死にオペラグラスで舞台に見入っています。その女性をこれまた男性が見入っている。桟敷席でお目当ての女性を見つけるのも男性の楽しみであったとか。そんな男性に見向きもしない女性の横顔は知的です。「ただスケベなだけの男はキライよ」、どうよ、こんなにも意志のはっきりした女性! 夜の興業では肌の露出したドレスを着ますが、きっちり肌を隠したドレスであることから昼興業であると。舞台に集中したいから昼の部に来ているのに、ほんと男って奴は…




メアリー・カサット(1844-1926)はアメリカの印象派を代表する画家です。画家を志して21歳でパリに渡ります。個展絵画からスタートしますがエドガー・ドガと出会い、印象派展に参加するようになります。当時女性の画家への道は開かれておらず美術学校への入学もままならぬ差別の中、困難を乗り越え画家になる意志を貫きます。
アメリカに帰国してからはフランスの印象画家の作品を友人である富豪の夫婦に紹介し蒐集のアドバイスを与えます。








印象派の影響のもと、カサットは自由な色遣いと筆のタッチでめきめきと頭角を現します。女性ならではの視点で捉えた情景を描きます。その頃米国から両親、お姉さんもパリに移住してきます。お母さんやお姉さんを描いた作品も多いです。

「浜辺で遊ぶ子どもたち」(1884年)幼い頃の姉妹で遊んだ姿を描いたのではないかと言われています。ふっくらちゃんが可愛いですね。











1890年、パリで開催された浮世絵版画展で感銘を受けたカサットは歌麿や清長の画法を研究し、多色刷りの銅版画を制作しました。浮世絵好きの私としてはそういった作品を紹介させていただきます。1890〜1891年に描かれた作品です。


「手紙」 女性の洋服も何となくジャポニズム

























「沐浴する女性」
女性の背中の丸み、水桶へ手を入れるその丸み、全てが女性らしい表現であると思います。腰から下に付けている服の色彩感覚(ストライプ)が非常にモダンであると言われています。


















「湯あみ(たらい)」
この作品は喜多川歌麿の「母子図 たらい遊」を参考にしているのではと言われています。
































晩年の油絵も浮世絵の影響が明らかな構図となっていきます。初期のスペインの絵画から得た確かな人体描写そして印象派への自由な筆や色の使い方、それぞれに魅力の溢れる作品でした。
展覧会ではカサットに大きな刺激を与えたエドガー・ドガベルト・モリゾエヴァ・ゴンザレスなど交流のあった同時代の印象画家たちの作品や彼女が蒐集した浮世絵や屏風絵も併せて展示してありました。それらからその影響をひもとくほどの観察力は持ち合わせませんが、一応、なんとなく頷いてみるのでありました。

※作品の掲載は購入した絵はがきより