2017年11月の俳句

小鳥下り来て里の音川の音 (ことりおりきてさとのおとかわのおと)

小鳥のひわ・つぐみ・連雀などは山から人里へ下りてくるそうです。里ではそんな鳥の声も聞けるようになりますね。七・五・五と不定形で詠んでみました。季語:小鳥



径を変へ行きては秋を惜しみけり (みちをかえゆきてはあきをおしみけり)

住宅地の散歩でもそれぞれのお家の木々に行く秋を感じられます。1年のうちちょっとの間の秋、欲張りに感じたいのです。 季語:秋惜しむ



生れたての雨の匂ひや冬の朝 (あれたてのあめのにおいやふゆのあさ)

このところ東京は夜中に雨が降ることが多かったです。起きて窓を開けると雨。今日の始まりが雨の匂いもまた風情があります。 季語:冬の朝 「生れる」は古語で「あれる」と読みます



屋根を越へ皇帝ダリア冬日向 

(やねをこえこうていだりあふゆひなた)




皇帝ダリアはずいぶん背が高く伸びますね。見上げて眺めれば冬快晴の空。いっぱい日を浴びて。「皇帝ダリア」は季語にいつなるかいつなるかと言われながら未だです。歳時記に載るほどの名句が詠まれてないからとか(笑) 季語:冬日



鮪船出てテープ浮く冬の凪 (まぐろせんでててーぷうくふゆのなぎ)

宮城県塩竃遠洋漁業のマグロ船をかかえる港です。美味しいマグロも義父母亡きあとは口にすることがなくなりました。船が出港するときは家族はテープを持って送ります。 時間が経てばテープがゆらりゆらりと浮いています。 季語:冬凪 荒れる冬の海でも波も立たず穏やかなこともありましてそのことをいいます。