一杓の清めの水や冬に入る (ひとしゃくのきよめのみずやふゆにいる)
手水舎の水も冷たく感じいよいよ冬と感じました。季語:立冬、冬に入る
あと一ト日持ちて落ち行く熟柿かな (あとひとひもちておちゆくじゅくしかな)
柿の木は育てやすいのでしょうか、ここかしこの庭に植わっています。散歩しながら毎日の育ちよう、朽ちいきようがよく分かります。季語:熟柿
寄せ鍋や野菜はここに魚はここに (よせなべややさいはここになはここに)
鍋奉行ならずとも土鍋に具材を入れる時、野菜はこの場所、魚や肉はこの場所と決めていませんか。私はだいたい決めています。ごちゃごちゃには入れません。余談ながら「魚」は「肴」と同源で「な」と読めます。季語:寄せ鍋
小春の夜三味艶やかに向島 (こはるのよしゃみつややかにむこうじま)
小春日にお姐さんたちの三味線のお稽古もはずんだのでしょう。その夜は三味も高らかにお座敷も華やいだことでしょう。これは全くの想像です。そんなお座敷に相伴など、、、ありませんので。向島を歩くのは好きです。季語・小春
亥の子餅愛でて中立ち露地しじま
(いのこもちめでてなかだちろじしじま)
亥の子餅は茶道の炉開きのときに出される主菓子です。イノシシの子に似た形で無病息災・子孫繁栄を願う意味が含まれます。
茶事では懐石のあと主菓子をいただいて一旦茶室を出ます(その間、亭主は席をあらためます)。お客は露地の待合で席が整うのを待ちますが、手入れの行き届いたお庭を眺めながら静寂の中での一時、濃茶・薄茶への期待と、これまた良いものです。季語:亥の子餅