2018年11月の俳句

一杓の清めの水や冬に入る  (ひとしゃくのきよめのみずやふゆにいる)

手水舎の水も冷たく感じいよいよ冬と感じました。季語:立冬、冬に入る


あと一ト日持ちて落ち行く熟柿かな  (あとひとひもちておちゆくじゅくしかな)

柿の木は育てやすいのでしょうか、ここかしこの庭に植わっています。散歩しながら毎日の育ちよう、朽ちいきようがよく分かります。季語:熟柿


寄せ鍋や野菜はここに魚はここに  (よせなべややさいはここになはここに)

鍋奉行ならずとも土鍋に具材を入れる時、野菜はこの場所、魚や肉はこの場所と決めていませんか。私はだいたい決めています。ごちゃごちゃには入れません。余談ながら「魚」は「肴」と同源で「な」と読めます。季語:寄せ鍋


小春の夜三味艶やかに向島  (こはるのよしゃみつややかにむこうじま)

小春日にお姐さんたちの三味線のお稽古もはずんだのでしょう。その夜は三味も高らかにお座敷も華やいだことでしょう。これは全くの想像です。そんなお座敷に相伴など、、、ありませんので。向島を歩くのは好きです。季語・小春



f:id:nikkokisuge:20181126143315j:plain:left 亥の子餅愛でて中立ち露地しじま
(いのこもちめでてなかだちろじしじま)
亥の子餅は茶道の炉開きのときに出される主菓子です。イノシシの子に似た形で無病息災・子孫繁栄を願う意味が含まれます。


茶事では懐石のあと主菓子をいただいて一旦茶室を出ます(その間、亭主は席をあらためます)。お客は露地の待合で席が整うのを待ちますが、手入れの行き届いたお庭を眺めながら静寂の中での一時、濃茶・薄茶への期待と、これまた良いものです。季語:亥の子餅