2020年11月の俳句

顔と名の記憶あやしや末枯るる  (かおとなの きおくあやしや うらがるる)

道でばったり知人に会いました。悲しいかな名前が出てきません。季語:末枯。晩秋草木や葉先が枯れてくること。末(うら)は根元に対して葉末のことです。


檸檬噛むおよそ男はへのもへじ (れもんかむ およそおとこは へのもへじ)

へのへのもへじではなく、へのもへじ。片目です。殿方、軽く受け止めてくださいませね。季語:檸檬



濃き薄き紅葉集める山力

(こきうすき もみじあつめる やまぢから)
自然の色彩の素晴らしさ。ずっ~と観ていて飽きません。 季語:紅葉。



f:id:nikkokisuge:20201124151646j:plain:left 剃髪の若き僧侶や新松子
(ていはつの わかきそうりょや しんちぢり)

季語:新松子は今年できた松かさのこと。青々した堅い球果を見ていると僧侶の剃りたての頭が浮かんできて清々しく思えて。




f:id:nikkokisuge:20201124155303j:plain:left 枯蟷螂哲学者めきたじろかず
(かれとうろう てつがくしゃめき たじろかず)
茶色の蟷螂(かまきり)は散歩していてもめったにお目にかかれないので、ネットを検索してみるとこの画像が。その印象を詠みました。季語:蟷螂枯る、枯蟷螂。草木が枯れるように蟷螂も枯れ、緑が変化したと昔の人は思いましたが、もともと緑と褐色があるようです。「蟷螂枯る」という事実はないのですが季節感を感じる季語として今でも使われています。