映画 「大鹿村騒動記」

昨日観てきました。原田芳雄さんの遺作になってしまいました。長野の大鹿村に300年も続く歌舞伎。村民が守り育んできた地芝居です。その村民達の歌舞伎に対する愛情と生活を組み込ませた内容です。原田さん自身が企画をしたとのこと。
原田さん演じる鹿料理の店主・善のもとに、18年前駆け落ちした妻・貴子(大楠道代)と幼なじみ・治(岸部一徳)が突然帰ってきます。痴呆症を患った貴子を善に「お返しします」と治。未だに離婚届に判を押していない善、忘れられない程愛した女房なんでしょう。善のことも治のことも忘れてしまった貴子ですが、善との結婚の機会となった共演した歌舞伎の台詞だけはとうとうと出てきます。ひょんなきっかけで昔のように歌舞伎を演ずることとなった善と貴子。歌舞伎も大成功に終わります。貴子も記憶が甦りしばし幸せなふたりです。しかし、貴子も病気は病気。完治するわけではありません。ラストシーンに笑いを誘います。

原田芳雄さんは好きな俳優さんでした。未だ71歳なのでとても残念です。この年代で孫を可愛がるような好々爺ではなく、ちょっと不良で色気のある初老の男性を演じられる人は数少ないですもの。あとは藤竜也さんぐらいですか。
笑えてちょっと悲しくて大人の男と女のお話。人生の甘みも辛みも経験した男女だからこそドラマもある、そんな映画です。原田さんの遺作にふさわしい映画だと思います。