2015年7月の俳句

梅雨明とともに消えゆく塞ぎ虫  (つゆあけとともにきえゆくふさぎむし)

梅雨の間 家の中はじめじめして何だか気が滅入ります。そんなじめじめもおさらばです。さぁ、元気出しましょう!
しかし、猛暑でござりまするね。季題は梅雨明



可か否か自問自答の古籐椅子  (かかいなかじもんじとうのふるとういす)

さぁ、どうしたもんでしょう ロッキングの籐椅子を揺らしながら思案にふける武蔵野夫人 をイメージしました。季題は籐椅子。あえて「古」を付けて、代々大事にされてきた籐椅子にすわり考え込む、父母もそうしたように。



光る火のさらに闇呼ぶ蛍狩  (ひかるひのさらにやみよぶほたるがり)

季題は蛍狩。蛍を楽しむ場所も無くなっておりますが、10年ほど前に湯河原に観に行きました。蛍がいっぱいというわけではありませんでしたが、それでも嬉しかった。
光があって闇がある。蛍の灯りが消えれば余計に闇を感じます。



外宮へと玉砂利静め撒水車  (げくうへとたまじゃりしずめさんすいしゃ)

東京でも朝早くには撒水車が登場しているらしいですが、とんと見たことがありません。伊勢神宮に参拝したときに見たときには、子供の頃の光景が蘇ってきました。昔はよく見かけましたもの。昼日中でも。
玉砂利が濡れて行く様子に参拝者の心も静められていくような、そんな気持ちになります。季題は撒水車(さっすいしゃ・さんすいしゃ)



水中花ノラの自由もあるものを  (すいちゅうかのらのじゆうもあるものを)

季題は水中花。水中花にはどうも私は哀切な感じを受けるのです。コップの中に入れられて、しばらくしたら眺められるのも飽きられて、水を変えてもらえるのも時々だし。
ご存じのようにノラはヘンリック・イプセンによって書かれた戯曲『人形の家』のヒロイン。