柳家喬太郎のイレブン寄席


BS11の「柳家喬太郎のイレブン寄席」の録画収録の観覧応募に当たりまして行って参りました。この番組は喬太郎がホストで毎回落語家を招いて噺をしてもらい楽屋話もあり、知らなかった落語家を知る機会にもなり、私は好きな番組です。


















今回のテーマは新作落語。私は初めて聴く噺ばかりです。
前座は喬太郎の弟子柳家やなぎによる「自由が丘」。見得はり両親のため電車はいつもかの有名な豪邸街 田園調布を利用して、そこから1時間かけて歩いて実際の家、川崎の家に帰るという不自由さ。うちはセレブじゃという両親に「どこが!!」と納得のいかない女子高校生、両親を説得し、その不自由さから脱したこの女子高校生が活躍して街ができ「自由が丘」という名前がついたというオチがつきます。


三遊亭丈二「一パミールの恋人」占いには星占いなどいろいろありまして、特に血液型占い。あれには困っもので、僕はAB型で、だいたいいつも二重人格・変人扱いと枕で話しつつ、演目にはいっていきます。のぼる君は恋人めぐみさんとの結婚を許してもらうためめぐみさんの両親に挨拶に。そのお父さんは血液型占いに凝っていて、中でもAB型が大嫌い。AB型であるのぼる君にそれは隠すようにとめぐみさん。AB型であることを何とか悟られないようにのらりくらいするのぼる君と、娘を嫁にやりたくないお父さんとの攻防が見物です。


柳家喬太郎「華やかな憂鬱」 流行らないキャバクラの店長がうだつが上がらなければ帰ってこいとの親の約束で田舎に帰る前に、新宿しか知らない東京を変える前にいろんな街を見たいと、弟分の案内であちこち巡るのですが弟分の連れて行く場所は板橋とか北区とか戸越銀座とか、、、ちがうだろうがと店長。そして最後に商売繁盛のヒントを掴んで、キャバクラは大繁盛というお噺。いかにもチンピラっぽい店長の口調、キャバクラ嬢のしぐさなど、喬太郎はそういった役所が上手い。


林家彦いち「長島の満月」 彦いち出身の鹿児島県長島についての自作。絵本にもなっているとか。主人公は彦いち本人。離島から東京の大学に出てきて合コンに行きます。あるある話でみんなは盛り上がりますが、都会の話に付いていけません。だって長島に信号機がついたのは小学生のとき。それも車を整理するために設置されたのではなく、「信号機とは」という学習用につけられた。オイルショックの話。えっ、なにそれ? と思い実家に電話をするとお父さんが「うちの島にはオイルショックはなかった」と。。。
「日本の歴史から離れた場所、それが長島でした」合コンも終わり外に出れば満月。長島で見る満月と変わらない。それで勇気をもらう彦いち師匠。噺の中にぐいぐい引き込まれました。


柳家小ゑん「下町せんべい」 新作といってももう30年も前に創られた噺とか。下町オタクの青年が浅草の煎餅屋にやって来ました。日本家屋の土間とか格子とか非常に興味を持ち感嘆する青年のオタクさと江戸弁の師匠のやりとりがとても面白いです。下町の粋な世界をオタク的な発想で捉えると、まぁ確かにねと笑いながら共感できるのです。それが小ゑんの世界でしょうか。