2016年9月の俳句

門限を破りたくなる星月夜 (もんげんをやぶりたくなるほしづくよ)

このままずっ〜と貴方とこの星を眺めていたい。季題は星月夜。よく晴れた秋の夜は空が澄んで星が美しい。特に新月の頃の星の輝きを称えていいます。



長き夜は届かぬ恋の長さにも (ながきよはとどかぬこいのながさにも)

秋の夜長はその風情を楽しむものでしょうが、そりゃ片思いの者にとってはひとり過ごす長い夜は辛いものです。
季題は夜長・長き夜



どうみても睨みのきかぬ案山子かな  (どうみてもにらみのきかぬかかしかな)

へのへのもへじの顔と痩せた棒の体。ききっこないですわね。最近は案山子もアートになって村おこし的な存在に。効くのかなぁ〜。季題は案山子。もう稲刈りも終わって片付けられているかしら。



祖谷渓の女人粉をひく走り蕎麦 (いやだにのにょにんこをひくはしりそば)

20年くらい前ですか徳島県祖谷渓に旅行して、そこで田舎蕎麦を食べました。ぽつりぽつりと切れています。つなぎの入った都会の蕎麦に慣れていますとなんじゃこれ!と思いましたが、香りは十分。今では懐かしく思い出されます。祖谷そばといって名産です。
祖谷渓は平家落人の山深き渓谷。そばの粉をひくのは女性の役目であったとか。哀愁いっぱいの民謡があります。季題は新蕎麦・走り蕎麦。







子規庵の机なでみる秋思かな
 (しきあんのつくえなでみるしゅうしかな)

9/19は子規の命日で糸瓜忌です。子規庵はJR山手線の鶯谷駅徒歩5分ですが、えっこんな所に!と思うほど風俗店を通り抜けていかなければなりません。
子規庵に着いてその静寂にほっとします。そして子規が使っていた文机の前に座らせてもらって、当時の子規を偲べば…ちょっと感慨深いひとときでした。
季題は秋思。秋の寂しさに誘われるものおもい。