田中一村展

奄美の光 魂の絵画」と題しまして東京都美術館で開かれています。
今年の三月に奄美大島を旅しまして田中一村美術館に寄りました。ツアでしたのでゆっくり鑑賞する時間がなくて残念に思っていたところの東京での展覧会で有り難く駆け参じました。

本展のチラシの紹介は

自らの芸術の探究に生涯を捧げた画家・田中一村(たなか・いっそん/1908-1977)。
本展は、一村の神童と称された幼年期から、終焉の地である奄美大島で描かれた最晩年の作品まで、その全貌をご紹介する大回顧展です。
世俗的な栄達とは無縁な中で、全身全霊をかけて「描くこと」に取り組んだ一村の生涯は、「不屈の情熱の軌跡」といえるものでした。
自然を主題とする澄んだ光にあふれた絵画は、その情熱の結晶であり、静かで落ち着いた雰囲気のなかに、消えることのない、彼の魂の輝きをも宿しているかのようです。
本展は、奄美田中一村記念美術館の所蔵品をはじめ、代表作を網羅する決定版であり、近年発見された資料を多数含む構成により、この稀にみる画家の真髄に迫り、「生きる糧」としての芸術の深みにふれていただこうとする試みです。

 一村が8歳の時に描いた「白梅図」。上手すぎるではないか!! 父の彫刻家の田中彌吉から手ほどきを受けたとのこと。幼い頃より南画(水墨画)に才能を発揮し「神童」と呼ばれたそうですが、それが伺われますね。








閻魔大王えの土産品」と手紙に記していた2点の大作。

1947年「白い花」川端龍子主催の第19回青龍社展に入選しますが、翌年 第20回青龍社展に「秋晴」「波」を出品し、ふたつのうち「波」は入選しますが、「秋晴」の落選に納得できず「波」の入選を辞退して川端龍子と絶縁するんですね。件の「波」は今のところ所在不明だそうです。


「白い花」ヤマボウシの花。大好きな花なのでこの絵も大好きになりました。
落選した「秋晴」はよほどの自信作だったのでしょうね。川端龍子日本画の本流である「床の間芸術」(掛け軸など)から離れて「会場芸術」を目指していたので、「白い花」は確かに会場芸術と認識しますが、「秋晴」はなんとなく掛け軸的な要素があるような気がします。

支援者とも意見の食い違いで絶縁するし、4点日展にも出品するんですがことごとく落選。中央画壇への絶望して、1958年奄美行きを決意しました。奄美での絵画制作となります。孤高の画家と言われていますが、村民たちとのコミュニケーションはうまくいっっていたようで、村民たちに色紙に描いた絵をたくさんあげています。
この展示会は絵画を中心に、スケッチ・工芸品・資料を含めた250点を越える作品が集められました。余すことなく一村を感じられて満足です。12/1までの開催なのでまた行こうかなと思っています。
※作品は本展の図録より