熊本の旅

10月28日から2泊3日の熊本旅行。茶道の先生と私たち弟子6名です。その中に熊本出身の女性Nさんがいるので、その故郷を尋ねようとトントン拍子に話が進んだのです。その方の実家が錦鯉の養鯉場を営んでいらっしゃってその見学もかねて実家をも訪れるという図々しいプランです。


熊本といえば火の国。先ずは阿蘇山に向かいました。雄大な外輪山になだらかな草千里。火口口まで車で行けるのでラクチンです。生憎の雨と風で寒くて大変でしたが、ガス規制もなくきれいなコバルトブルーのカルデラ湖が見えましたよ。







宿泊は熊本城近くのホテル。夕食は和食のお店。やはり馬刺しをいただきましょう。本場の馬刺し念願でもありましたので嬉しいことこの上はなく。先生は苦手と言うことでしたのでその分をいただいて。甘くて臭みはなくとろけるよう。牛刺しよりトロより私は好きですよ。つまのタマネギが合います。









2日目はご実家の養鯉場に行きました。お父様は何度も品評会には優勝されておるこの道の達人。田中角栄さんや前川清さんにもお世話をされた方です。敷地内にはいくつも水槽があり稚魚から高級な鯉までと分けられています。稚魚は姿形模様から選別されて合格したものが育てられます。残念ながら合格しないものは熱帯魚の餌になったりするそうですよ。鯉の社会も厳しい!
少し離れた所に更なる高額なAクラスといわれる鯉が保管されている場所にも案内してもらいました。こういう鯉は最後には1匹何百万もの値段で売られるのでしょうね。いい目の保養をさせてもらいました。
鯉は縄張りを持たないので喧嘩をしないんですって。人にも慣れ、なんと言っても声を出さないのが癒やしにいいとのことですよ。美しい模様でゆったり泳ぐ姿は確かに心を癒やしてくれますね。

この後は高田焼(こうだやき)の陶工上野窯(あがの)のお店を訪問。肥後随一の古陶です。象嵌青磁の技法で現在はここ高田焼のみが守っています。加藤清正が朝鮮より招き入れ、その後細川家のお抱え陶工となりました。最初は上野家は三家ありましたが廃業したりして現在は一軒のみとなりました。
象嵌は半乾きの素地に竹べらなどで文様を彫りそこに白い長石を埋め込むものです。手間が掛かりますね。


水前寺成趣園です。この日も雨でしたが、緑が洗われてしっとり落ち着いた雰囲気になりました。東海道を模したといわれています。高い山が富士山です。古今伝授の間で庭園を眺めながらお抹茶をいただきゆったりと時が流れ安まります。
この夜は食事の後、歓楽街で熊本の夜を楽しみました。Nさんの叔父さんの案内でスナックに。地元の方の案内ですと安心です。オバサンみんなハチャケました(笑)。







この日も生憎の雨。誰だ雨女は!
旧細川刑部邸を見学して熊本城に。日本三名城(大阪城名古屋城)のひとつです。隈本城を加藤清正が改修し熊本城と名付けたお城ですね。石垣が見事です。緩やかな勾配のものが上部に行くにしたがって垂直に近くなる「武者返し」と呼ばれる形状なんですね。櫓は漆喰壁に柿渋塗りの下見板張りの黒い外観が特徴。見事なお城ですよね。風格があります。ガイドさんの説明によると折角のお城なのに清正は病死するまでの4年しか住まわれなかったんですって。その後豊臣家の滅亡により加藤家は改易となり、細川忠利が入封するわけです。

Nさんが組んでくださった行程は出身者ならではのきめ細やかさ。観光スポットは言うまでもなく、地元の食をいただき、お酒をいただきまして、ただの観光とはひと味も二味も違った旅となりました。
そして何より嬉しかったのはNさんご両親を始め従弟のパティシエによるおもてなし昼の部、そして叔父様によるおもてなし夜の部。お客を厚くもてなす風土に感激しました。東京では薄くなりつつある人間関係、大いに反省です。厚き心に触れる喜び、大切にしなければいけませんね。