奥日光ハイキング

奥日光へは久しぶり。6〜7年振りくらいになりますか。いつもは宿泊していきますが、今回は日帰り。ですので朝5時に出発です。もうこの季節5時ですとすっかり明るいですね。東北自動車道宇都宮I.C.から清滝インター→日光宇都宮道路いろは坂中禅寺湖を抜け赤沼車庫まで行きます。混雑もなくスムーズに着きました。今日の予定は戦場ヶ原〜小田代ヶ原〜西ノ湖(さいのこ)〜千手が浜〜赤沼。(※車は自然保護のため進入禁止。その為ハイブリッドバスを運行させています)

駐車場でハイキングの装備も整え、8:40さぁ出発です。今日は私の膝の状態が◎ではないのでUP&DOWNのない平地をプラン。湿原保護のための木道を歩きます。戦場ヶ原です。名前からして昔ここで武士の合戦があったかと思いますが、地名の由来は伝説で、この湿原は当時下野国(現在の栃木県)の二荒神男体山)と上野国(現在の群馬県)の赤城神(赤城山)が、それぞれ大蛇(男体山)と大ムカデ(赤城山)に化けて戦った戦場であるということだそうです。生憎の空模様で男体山が雲に隠れています。


ずーと戦場ヶ原の木道を進みます。前に歩く人が立ち止まって戻ろうとしているので何事かと思えば、こりゃまた大きなニホンザルが堂々と木道を歩いてきます。毛もふさふさとそりゃ貫禄のお猿さんでしたよ。どうぞ!とばかりに道を譲ります。ジモティー優先(笑)。次に目指すのは小田代ヶ原。なんとも美しい草原です。写真で見にくいですが真ん中にある1本のシラカンバの木は「小田代ガ原の貴婦人」と呼ばれる木でして、カメラ好きな方々の絶好の被写体です。この貴婦人をバックに人を写してもみんな負けます(笑)。ここでちょっと酷い雨に。止むまで小休憩。


小田代ヶ原を後にして次は西ノ湖に向かいます。ここからは森に入っていきます。まあなんと緑の美しいこと。東京ではすっかり若葉も濃い緑になってきてますが奥日光はまだ若葉若葉していて緑色が何ともやさしい色です。しかしこの緑の森林に先程から随分賑やかな声がします。シャーン、ジジジというどうも蝉の声。あんまり心地よいとはいえない鳴き声です。6月なのに蝉?「エゾハルゼミ」といって寒冷地を好み、小さな体に似合わず声だけは大きく、これが合唱となると森全体が鳴き声でつつまれます。野鳥の声もかき消され相当うるさい。


西ノ湖までは多少のUP%DOWNが続きます。30cmぐらいの道幅の所もあってちょっと山歩き気分です。蝉の声も聞こえなくなり、私の大好きな西ノ湖に到着。最初に訪れたのは20年近く前。だあれもいなくて私たちふたりだけ、湖ほしいまま。それ以来すっかりこの湖に魅せられました。波も小さく静かです。湖とそれを囲む森、ほとんど無音な世界ですが、湖と森の声が聞こえてくるような気がするのです。
4回ほど訪れていますが、前回の6〜7年ほど前、西ノ湖に至るまでの林がすっかり様変わり。笹が一杯生えていて避けるように進んだ道が何も生えていなくてすっかり原っぱに。道を間違えたかと心配になるほどでした。
後で環境保全の職員さんに聞いたところ、鹿が繁殖して草や木の皮や葉っぱが食い荒らされてしまったとのこと。大好きな森だけに私のショックは大きくしばらく日光には行かれませんでした。

湿原植生の破壊が危惧され始めた事から2001年より戦場ヶ原と小田代ヶ原を囲む形で防鹿柵が設置されております。
今回も鹿を度々見かけました。動物愛護の立場からいえば殺生はあってはならないことでしょうが、植物愛護・環境保護からいえばどうでしょう。こんなにも植物が食い荒らされてはいかがなものかと。植物にも影響を与えない頃の鹿の数に減らす、それを私たちは有り難くいただいて供養とする。そんなことを考えました。一度荒らされた林は森は再生には相当の時間がかかります。
西ノ湖から千手が浜までどこまでもどこまでもという感じの森の道を歩きます。もう何度も何度も深呼吸して酸素を一杯吸います。千手が浜からはさすが疲れて、更に赤沼まで3時間を歩く自信はなくハイブリットバスに乗車。
帰りは湯元温泉のホテルの立ち寄り湯で体をほぐします。湯元温泉はイオウ温泉。透明な温泉に比べるとちょっと黄みがかってイオウの匂いぷんぷんのお湯はそれだけでも効用があり「温泉に入りました!」感が強いですね。帰りは首都高がちょっと渋滞で20:00前に家に着きました。久しぶりの奥日光、俗化されてなくやっぱり好きです。国有林になっているので、私設の○○美術館とか△△博物館が無いのが幸いしているのでしょうね。