根津美術館 「中世人の花会と茶会」


根津美術館は表参道にあります。東武鉄道の初代根津嘉一郎が蒐集した日本・東洋の古美術品コレクションの美術館です。数寄者であった嘉一郎は数々の有名な茶道具を集め、そのコレクションは美術館の柱にもなっております。今回は気になる茶入や茶碗が展示されるので仕事を早めに切り上げて行ってきました。




今回の展示はタイトルのごとく青磁や唐金の花入(花瓶)や梅雨の季節に合わせて茶会での道具の取り合わせを意識して展示してあります。



















「雨漏茶碗」16世紀朝鮮時代のもの。透明釉がたっぷりと掛かっていますが焼きが柔らかいためしみが生じて雨漏り状の斑となっています。その班が美しいです。形も良いですね。








根津美術館が所有する肩衝茶入「松屋
本で見ていたより実物が大きくて驚きました。堂々とした風格のある茶入です。13〜14世紀の中国の福州窯系です。黒褐色の地釉に茶釉が流れ、こういうのを「景色」と云っています。「松屋」と銘があるのは奈良の松屋が所持していたので名付けられました。銀座松屋には関係ないです<(_ _)>。





そして今回の目玉。長次郎作赤楽茶碗「無一物」。これが見たかったです。兵庫の頴川美術館からの特別展示品です。長次郎は当時瓦職人でしたが利休が瓦の黒で茶碗を作らせ、それが大いに気に召し楽焼の創始者となります。千家十職の一つである樂吉左衛門家の初代になるわけですね。ろくろではなく手捏ねされてその自然な歪みなどに趣を感じます。
この赤楽はふっくらした胴から丸い腰へそしてすっきりと高台にすぼまり、それは美しい形です。色もいいです。そんなに見る機会もないですから目にしっかり焼き付けて帰ります。



根津美術館の庭には4つの茶室があります。茶会などには貸し出しをしているようです。こんなところで茶会を持てたらすばらしいなぁ〜と思いつつ散策。池もあったりしてなかなかのお庭です。しかし当然のごとく蚊が多い。両腕両足に食われました。かゆかゆしながら歩いていると、今時の若い男子もかゆかゆ。「5ヶ所食われちゃいましたぁ〜」と慰め合う。しかしこんな若い男子が茶道具の展示会に来るなんてちょっと以外で嬉しい。