大名茶人 松平不味 没後200年/特別展 at 三井記念美術館


行ってからもう1ヶ月経ってしまいしました。―お殿様の審美眼― の副題がついています通り、不味は松江藩主でした(1751〜1818)。茶道具、書画、道具、調度品などから数多くの名品を蒐集しました。この中には国宝や重要文化財に指定されているものも多くあります。唐物茶具をはじめ、桃山時代からの侘茶の道具も多いです。茶の湯独特の鑑識眼持つ不味は蒐集するだけでなく、プロデューサーの役目もしていろいろな道具を再生させました。そんなお好みの道具を楽しみこともできる展覧会でした。
お茶碗や茶入は今までに何度も拝見しておりますが、何度見てもいいものはいい。飽きませんね。しかし、今回特に私が目を止め、何度も戻っては眺めた作品があります。個人所蔵なのでしょう、絵葉書も売ってなく、残念ながらずばりその作品をご紹介することはできません。
「宋胡録(すんころく)九角香合」です。17世紀、タイより伝来したものです。掌にのる小ぶりの香合です。宋胡録、初めて目にし耳にした陶器でした。帰って調べました。

14世紀頃,中国の陶工の指導のもとにタイの旧都スワンカロークで焼かれた陶器。また日本におけるタイの陶器全般の呼称。この名称はスワンカロークがなまったもので,日本では宋胡録,寸胡録などの字をあてる。胎土は鉄分を含み,砂粒が混っている。黒褐釉を主とするが,白釉でおおったものや青磁釉をかけたもの,あるいは素焼のものなどがある。なかでも刻線の唐草文で飾られたものが多い。器形は合子,皿鉢,壺などのほか,各種の動物,人形像などがある。日本へは桃山,江戸時代初期頃に将来され,茶人が珍重した。


私はベトナムの安南焼きをはじめとして素朴な手書きの絵を好みますので、完璧はまってしまいました。しかし作品として商品としては当時から伝来されたものは少なかったのでしょう。今までに見たことはありませんでした(というか気が付きませんでした)。

今や検索しても売り物の宋胡録しかヒットしませんので、商品画像をここで紹介するわけにはいきませんので、福岡市美術館所蔵の目録やサンカローク博物館(スコータイ)のHPで紹介されている画像を載せておきます。



こうした作品も素晴らしいですが、展示されていた「宋胡録九角香合」に勝る物は見つけられません。いつかまた見せていただく機会があればと願っております。