2014年7月の俳句

火を囲み海女は素の顔戻しける  (ひをかこみあまはすのかおもどしける)

海にもぐっている時は生死の淵にいますからそれは真剣でしょう。でも陸に上がって海女小屋で火をたき体を温めるころには、母の・妻の・娘の顔に戻っていくようなそんな光景を詠みました。季題は海女。



虹立ちて手をいっぱいに肩車 (にじたちててをいっぱいにかたぐるま)

お父さんの肩から虹に届けとばかりに手を広げる幼子、我が子にもそんな時代がありました。季題は虹。



酢に咽せて背をさすられて心太 (すにむせてせをさすられてところてん)

心太は大好きです。太らないというので特に学生の頃はよく食べました。でもだんだん年と共に酢に弱くなりました。あな哀し。季題は心太。



小夜更けて合歓の葉閉ぢし恋ひ寝かな  (さよふけてねむのはとじしこいねかな)

季題は合歓の花。合歓の葉は夜になると葉と葉が合わさるように閉じます。中国ではこの様子を夫婦和合にみたて円満の象徴としているとのことです。



図太さも年の功なり百日紅  
(ずぶとさもとしのこうなりさるすべり

夏を代表する花木といえば夾竹桃百日紅ですね。夾竹桃はなんだか若さを感じます。百日紅は木肌も枝振りもああいう感じですし、何となくご隠居さんっぽく感じています。季題は百日紅