紅花染めの大切さ


茶会で行きました北野美術館戸隠館の上村松園の作品「風」です。
夏の風に袂はふくらみ、裾も少し乱れる、それでいても上品な佳人。まさしく松園の描く美人画ですね。風を受けての動きが見事に出ていますね。
しばし見とれますが、襟や袖の少し朱い部分が気になりました。どういうことなのか。作家としてアクセントで紅色を使いたかったのか?
同行した社中の着付けをやっていたお仲間に尋ねました。彼女の説明によると今でもそうですが、紅花で染めた反物は非常に高価でその反物を大切に使った訳ですと。ですからその紅花の反物を最初は襦袢など作って、少し古くなればこうしてすこしづつ襦袢の襟や袖口に使ったようです。または最初からこのように襟や袖口に少しづつ少しづつ使ったようです。それだけ物を大切に使ったのです。彼女のおうちもお母さんのお古の長襦袢を七五三で彼女の襦袢を作り、そのあといろいろ使って、最後ははたきになったとか。そこまで使い切ったのですね。しかし、古びてぼろくなったとはいえ、なんと高価なはたきだったことか!

一反染めるのに紅花の花びらを何万個 いや何十万個 教えてもらいましたが、、、忘れました。
絵を鑑賞するにも「?」の謎が解けるのは有り難いことです。それでなければ無知な私はただの作者の色遣いに終わってしまいますから。ひとつ学習できました。有り難うございます。




それとですね、絽の着物でしょうか、腕が透けて見えます。この透け感、見事なものではありませんか。絵の具でそれを表現できるなんて感嘆しました。そんでもってぜひ紹介したいとアップにしました。着物に「涼」を感じます。


※画像は北野美術館のHPより