2015年9月の俳句

ひんやりに目を覚ましけり白露の日  (ひんやりにめをさましけりはくろのひ)

季題は白露。二十四節気の一つで今年は9月8日でした。処暑秋分の間で暑さが少しづつ収まり、夜間に大気が冷え込み始め、草花にも朝露が宿るような時期ということです。朝方は夏ぶとんで少し寒いかと目が覚めました
しかしこの連休は夏日に戻ったような。体が対応できません。




えくぼより鬼灯の音出でにけり
(えくぼよりほおづきのおといでにけり)



鬼灯の笛を作るのも鳴らすのも下手でしたわ。飽きずにホオヅキの実を揉んで柔らかくし種を取り出すのですが、最後の最後にようじで取り出すときに敗れてしまったり、やっとできたと喜んで鳴らしてもいい音がでなかったり。でも楽しい子供の遊びでした。季題は鬼灯(ほおづき)。



寺裏に読経漏れ聞く竹の春  (てらうらにどきょうもれきくたけのはる)

お嫁ちゃんの実家はお寺さんで裏に竹林があります。2回ほどお邪魔したことがあります。その名も竹林寺。まんまです(笑)。
季題は竹の春。竹は春に筍を育てますので親竹は黄葉し、質も悪くなります。子育てに全身全霊使うのは人と一緒ですね。
秋には親竹も若竹も緑の色を濃くします。それで竹の春といいます。



江の島の島裏に満つ根釣人  (えのしまのうらしまにみつねづりびと)

季題の根釣(ねづり)。根というのは海底の岩礁のこと。秋に岸の根に寄ってくる魚を岩頭に立って釣るのです。
江の島は表側は観光客で賑わいますが、裏側は釣り人で賑わっているようです。岩頭ですから一人しか立てない岩もあるでしょうね。そういう場所はベテランさんに譲りまして新参者は岩続きの場所を。



音のせで母の化身やきりぎりす (おとのせでははのけしんやきりぎりす)

推敲2015.09.23 :声のせで母の化身やきりぎりす

義母は人工呼吸器で命を繋いでおります。はや9日経ちますが頑張っています。
ずっと塩竈に滞在しておりますが、夫は仕事がありますので時々東京に帰ります。そんな私一人で過ごす夜、お布団に入り本を読んでいますと枕元にきりぎりすが。えっ!部屋の中にと驚きました。指で畳をちょんちょんとしても動かないのです。鳴くこともないのです。そのままにしておこうと本に目を移してほんの2秒ほど、きりぎりすに目をやるともう姿が見えない。夫に話したら、母だったのかもしれないねと。季題は螽斯(きりぎりす)。