交趾大亀香合 (藤田美術館所蔵)  サントリー美術館

義母の様態が月曜日に急変しまして、急遽塩竈に来ております。毎日顔を出すのですが、今のところ変化はなしです。それに合わせるかのように義父が肺炎にかかり義父も施設併設の病院棟に入院。う〜んダブルピンチ。いつ何時病院から連絡がと思うと緊張でどんと疲れが出てきました。やはり認めたくないけれど歳なのか……
そうだ、そんな時は心豊かになることを思い出しましょう。




前回のサントリー美術館での藤田美術館所蔵の展覧会での作品の一つ。「交趾大亀香合(こうちおおがめこうごう) 」です。香合としては大ぶりな形物香合。手のひらにどっしり乗るような感じです。なんともユーモラスな亀さんで配色も綺麗ですね。明〜清時代の17世紀頃に作られたものとのこと。
交趾という名称はベトナムの地名に由来するとか。交趾焼は茶の湯で珍重され、特に香合は人気であったと。京都の窯で写しが焼かれ、京焼、九谷焼と全国で制作が広がっていきました。




江戸時代には茶道具の番付があり、この「交趾大亀香合」は幕末に最上位である東の大関に載ったとのこと。
藤田傳三郎氏はかねてよりこの香合の入手を熱望しており、亡くなる10日前にやっと念願が叶いました。稀代の名品を病床で手に取ることは可能だったでしょうか。
なんでも入札価格は当時でも破格の9万円。現在の9億円だそうですよ!おったまげたがね。
会場では、へぇ〜そんな値打ち!? そんな価値が?9億円と聞いて何度も観に戻る超庶民でござりまする。


しかし、数日経ちまして美術館での姿を思い出し、購入した葉書を見ていますとこんな銘品に恐れながらでございますが、なんとも亀さんが愛おしくなってくるのですよ。なんだかそれが嬉しいでございまする。

※写真は藤田美術館のPHからと購入した葉書からです。