2016年3月の俳句

尖りても如月の日は丸くにも (とがりてもきさらぎのひはまるくにも)

季題は如月。陰暦で二月のことです。ホトトギスの歳時記では陽暦をとって三月に入っております。う〜ん、難しい季題です。三月でありながら二月の雰囲気も入れなくては。でけましぇん。寒くなったり暖かくなったりそんな季節のせめぎ合いを詠みました。


空薫の近くに野梅ありしかな  (そらだきのちかくにやばいありしかな)

空薫(そらだき)はどこからともなく匂ってくる良い香りをいいます(当の部屋ではなく別室で香を焚いて柔らかく漂よわせることも言います)。山歩きをしていますとそんな空薫に出会う楽しさがあります。姿は見えませんが香りで姿を想像します。それもまたよきかな。季題は梅。



芹だけの今日は一草粥とせむ  (せりだけのけふはひとくさがゆとせん)

はい、もう七草は揃いませんので一草だけで。芹の香りが美味しゅうございました。季題は芹。



子規さんのほのかな恋や桜餅  (しきさんのほのかなこいやさくらもち)

向島の長明寺桜餅屋で間借りした正岡子規。その家の娘に恋心を。私は桜餅は葉を全て取って食べるのを好みます。香りがほんのりとして、子規さんの淡い恋心を偲びながら。季題は桜餅。



夢太く語りし君に水の春  (ゆめふとくかたりしきみのみずのはる)

三月は若人が巣立つ月ですね。夢と希望に充ち満ちて元気に溢れます。さぁ、飛び立ってくださいと応援歌。季題は春の水(春水・水の春)。山々の雪が解け勢いよく流れ、川や湖を満々とたたえます。