朝ドラの「とと姉ちゃん」。大地真央がよくおばあちゃま役を引き受けたと気を引きましたが、やはり見せ場はありましたね。ヤクザ相手に啖呵を切るところなんぞ、カッコイイの一言。さすが宝塚歌劇のスターだったことだけあります。見ほれましたもの。
女性はこんなにカッコイイのにさてはて男性は。
落語を聴きに行くのも1月の志の輔さん以来かしら。ちょっと久しぶりです。
柳家喬太郎・桃月庵白酒・春風亭一之輔となると逃すわけにはいきません。きゅりあん大ホールは1000名ぐらい入るのでしょうかね。満席です。お三方の人気が伺えます。
前座、はまぐり君は白酒師匠のお弟子さん。遠目だけれど可愛らし、でも噺も姿の印象も薄い。まだまだ修行中ですね。こんな大きなホールに上げてもらえるだけ良かったね、はまぐり君。
さてこのお三方、年齢順にいいますと喬太郎が52歳、白酒が47歳、一之輔がうんと若くて38歳。順番から行くと一之輔が一番手かなと思いきや、登場は白酒さん。なんでもこの後浅草演芸ホールのトリを勤めるということで終わったらそちらに大急ぎで向かうとのこと。白酒さんの枕はいつも毒舌で笑わせてくれますが、今日は割合大人し目。大井町をヨイショします。浅草の人と比べて、「大井町の人は品がよろしくていいですよ。浅草はまだ3割の人が裸足ですから」と笑いを取ります。
「宿屋の仇討ち」神奈川宿での出来事。侍が静かに今宵は過ごしたいのでよろしく頼むと宿の者に伝えますが、その隣部屋に来たのは騒ぐの大好きな三人組。芸者を呼んで飲めや歌えの大騒ぎ。その三人の1人が女にもてて困っちゃうわの自慢話。武家の奥方に惚れられいい仲に。懇ろなところをその武家の弟に見つかり、ばっさり武士を切り、逃げるのに足手まといになる奥方もばっさり、と自慢話。(これはその男が実際やったことではなくどこかで仕入れた話)。それを聞きつけた隣の部屋の武士、「いかにもそれは我が弟。いざ敵討ちじゃ」と三人を縛り上げ、翌朝に切って捨て本懐を遂げると言い伝える。さて翌朝になるとその武士は旅支度をして宿を発とうとします。あの仇討ちは?と宿の者がたずねますと「あれは嘘じゃ。そうでも言わないと拙者は夜通し眠れん」
「鰻の幇間(うなぎのたいこ)」一之輔の枕は面白かったですよ。笑点にふれ、歌丸の後の司会は春風亭昇太に決まり、さて昇太の席に座るのは誰か?当日は生放送なんですね。「29日は私青森に行ってますので、私でないことだけは確かです」「白酒はどこそこに行ってますので白酒でもないことは確かです」と会場を湧かせます。ほんと誰なんでしょうね? 歌丸と同時に木久扇も辞めればいいのにと思う今日この頃。さて「鰻の幇間」、夏のさなか、お得意の旦那衆は避暑にお出かけ、ここのところいいお呼びが無いのです。これはカモになると思う会ったか会ってないか定かではないけれど旦那に声を掛ければじゃぁ鰻でも食べに行くかと願ったり叶ったり。汚い鰻屋で不味い酒を呑まされ料理を食べさせられ、挙げ句の果てその詐欺の旦那は食い逃げ、幇間は食事代も払わせられ挙げ句に下駄までその偽旦那に取られててんやわんや。その情けない幇間を一之輔はうまく演じていました。鰻屋相手に疲れた(実際本人疲れていた?)やるせない感じが非常に出ていました。「笑点なんぞ、どんなけんのもんじゃ」と言いながら、ひょっとして気にしてる?(笑)
喬太郎「井戸の茶碗」はこのブログでも何回も取り上げていますので粗筋は割愛。正直者のくず屋の清兵衛。喬太郎が演じるとそんなに正直者には思えないから不思議。どこかちゃらけた清兵衛。やはり正直者清兵衛となると志の輔が一番合うかな。でも喬太郎の井戸の茶碗もそれはそれで成立しています。
お三方、ぐいぐい客席に向かってくる勢いがありますね。客に勝負している感が伝わってきます。すると客も向かい合います。娯楽とはいえそんな緊張感もまた良しってところで。
はい、舞台は違へど、大地真央さんほどの男っぷりはありませんけど、ぽっちゃり→小太り→ぽっちゃり(一之輔さんの弁)で会場を沸かせてくれました。有り難うございます。