鳥渡るわが町の空貸し切りて (とりわたる わがまちのそら かしきりて)
都会ではまず鳥が渡ってくることはないですが、東北に旅行したときそんな光景を目にしました。毎年楽しみにしていらっしゃるその町に人には「空貸し切って」という思いかと。季語:鳥渡る。
切手シート切り取り線の秋湿り (きってしーと きりとりせんの あきじめり)
事務所では切手はシートで買います。秋の長雨で切り取り線がじとっとしていて、スムーズに切れません。それにつけても、昔の切り取り線はすっと切れたような。最近は紙がしっかりしてきたのか。季語:秋湿り。
言い切りてすぐに迷いの月の雨 (いいきりて すぐにまよいの つきのあめ)
断言しておきながらすぐに「良かったかな・・・」と自信がない臆病者でございます。季語:月。
仕舞ふ前すこし仰いで捨団扇 (しまふまえ すこしあおいで すてうちわ)
もう団扇も片付けていいでしょうと、ホコリを払って、ちょっと仰いで、よしよしと。季語:秋団扇(捨団扇)。秋になって大方かえりみられなくなった団扇のことです。
過疎村に紅緋雄黄カンナ燃ゆ (かそそんに べにひゆうおう かんなもゆ)
10月になってもカンナは咲いています。花の時期が8~10月と長いですね。まっかか・まっききの色鮮やかさが、過疎村に対比して、見事ながらもそれゆえに一抹の寂しさも。季語:カンナ。