「所 ゆきよし 漫画道場」 講演会

前回の西山ガラシャさんに続いて今回のOB会は、風刺漫画家の所ゆきよしさんをお迎えしての講演会。講演会というとちょっと大げさで20数名の会です。こじんまりしていてそれはそれでいいですよ。

所ゆきよしさんは風刺漫画家。1947年生まれで1978年フリーの漫画家として独立後文芸春秋のイラスト、1985年には毎日新聞の政治漫画を担当。2009年には日本漫画家協会大賞を受賞。日本の政治を風刺し「当代一の政治漫画似顔絵師」と評されたそうです。

漫画とは?から始まり・漫画の歴史・漫画とビジネスなど普段なかなか聞けないようなお話をしてくださいましたが、なんせ全部理解できない頭故、まとまりのない文章になりますがお許しくださいませ。

そもそも日本での漫画の始まりは結構古く、平安末期の後醍醐天皇の時代からあるとのこと、いわゆる鳥獣戯画がそうですね。和紙に筆で描くので、線が丸いです。猿・鳥・蛙・兎に着物を着せ擬人化する。猿と蛙では明らかに大きさが違うのですがみんな同じ大きさに描く。そして吹き出しもあるのだそうです。巻物の鳥獣戯画、巻物はアニメーションの元祖と捉えられるのです。
猿に法衣を着せていますが、これはいい加減な法話でお金をもらっているという風刺なのです。

時代も江戸になりますと鳥羽僧正が始めたという『鳥羽絵(とばえ)』として滑稽な戯画が描かれます。北斎・広重など浮世絵師が描いていますね。(そもそも「とばる」とは「おおげさな」という意味だそうです)



時代は大きく飛びますが、第二次世界大戦の戦前〜戦中〜戦後は風刺画は受難の時代。憲兵の目をくぐってそれでも生き延びるため滑稽漫画として漫画家は描き続け、戦後直ぐはナンセンス漫画を描いて現代に繋がれてきたのです。江戸時代もそうですが、戦争中風刺を描いて投獄された絵師・漫画家は出てきても二度と描いていないので、恐らくそんな腕に指にされたのではないかと。

質疑応答がありまして、職業柄常に社会の動向に目を配られテレビニュースやワイドショー、週刊誌などよく目を通されるのですか? との問いには
毎日新聞上での風刺画なのであくまで一面なら一面の、三面なら三面の記事に合った絵を描かなければならないので、テレビなどのマスコミを参考にすることはないとのことですよ。なるほど、そりゃそうですわね。
「風刺漫画家も昨今は仕事がしにくいです。それはニュースをいち早くパソコンやスマホで知ることができるので、もうそれ古いよなんて言われてしまうので」

海外ではイギリス・フランスが風刺画は盛んでしたが、やはりお上からの圧力も多く投獄も繰りかえされ、イギリスは印刷技術の進化もあり漫画という形態をとり、フランスはそれでも意地を見せ新聞に載せる形で風刺画が続いてきましたが、ヨーロッパが何がイカンと言えば、「漫画は芸術だ」と言ってしまったこと。
「ジャーナリズムで育った漫画は芸術ではなくビジネス」ですと所さんは仰います。
それと昔は和紙に筆で描きましたので線が丸いですが、それがペン画となったので直線になってきたというお話も印象的でした。