横浜美術館 「ホイッスラー展」

14日の土曜日行ってきました。美術館へ出かけるのも久しぶりな感じです。



ジェームズ・マクニール・ホイッスラーは1834年アメリマサチューセッツ州生まれ。21歳に画家を目指し渡仏します。写実主義を学び、25歳でロンドンに移住し、それ以後イギリスとフランスを行き来し活動しました。絵画によって道徳的な物語や教訓を示唆するのではなく「芸術のための芸術」と言い、色と形の調和で視覚的な喜びを表現する「唯美主義」を主導しました。
彼は日本の浮世絵や工芸品に興味を持ち蒐集し「ジャポニスム」の画家としても有名です。
今回はその影響を受けた絵画鑑賞も楽しみとなりました。


展覧会は三章に分かれておりました。「人物画」「風景画」「ジャポニスム


第一章「人物画」

自画像です。1872年とありますから38歳頃のホイッスラーでしょうか。なかなか男前さんですね。彼はオシャレでダンディーだったらしいですからモテたでしょうね。
















私は好きだった人物画はこれ。「ライム・リジスの小さなバラ」1895年
ライム・リジス家のお嬢ちゃんを描いた作品。丸くて大きい瞳でこちらをじっと見て、愛くるしいなかにも唇はきりりと締めて利発そうな顔立ちです。小さなバラというタイトルもいいではありませんか。





















第二章「風景画」

「肌色と緑色の黄昏」1866年。もうすっかりより正確な描写「レアリスム」から脱して、純粋な芸術である絵画と変化してきたのが分かりますね。





「「ブラック・ライオン波止場」1859年。テムズ川の風景を描いた「テムズ・セット」の一つ。今回私は彼のエッチングに惹かれました。沢山のエッチングも展示されてましたが、彼はこんなにも版画の依頼もあったのかと驚かせました。その線の線密なこと!



第三章「ジャポニスム
日本の浮世絵から影響を受けた画家は沢山いますね。ホイッスラーもそのひとり。数多くの作品の中からそのひとつ。あまりにも有名な作品でこれを外すわけにはいきません。

ノクターン:青と金色-オールド・バターシー・ブリッジ」1872〜1875年
歌川広重「「京橋竹がし」
木製の橋桁をクローズアップさせた構図はまさしく広重の意外性を意図した構図を参考にしたのではないかと。





「白のシンフォニー №2 ホワイトガール」。これも代表作品ですね。
白いドレスの女性がさりげなくうちわを持っている。背後には赤いお椀や磁器もある。これがジャポニスムと言わずしてなんと言うんじゃ的な作品ではありますが、この作品がジャポニスムを抜いてでも代表作品である所以は、このモデルの物憂げな表情に心奪われます。モデルはジョー・ヒファーナンです。当時ホイッスラーと愛人関係にありました。その苦悩が表情にも表れているのですね。そしてものの本によると、せめてものジョーへの心遣いでしょうか、左手の薬指には結婚指輪をつけさせています。
まぁそういう面倒な女性週刊誌的な解釈はともかくとして(笑)、ドレスの白がふんわりと引き立つ作品です。うちわやお椀の赤、磁器、花がひきたてているからでしょうね。


        「音楽が音の詩であるように、絵画は視覚の詩である。
    そして、主題は音や色彩のハーモニーとは何のかかわりもないのである。」

唯美主義「Art for Artʼs Sake」のリーダーであったホイッスラー。1903年 69歳の生涯を閉じました。

※作品写真はパンフレット、購入したはがきより