和服を着る

お茶を習い始めて俄然着物を着る機会が増えました。当初は若い頃に母に着せてもらった手順を思い出しながら着つつ、しかし着物は着られるけれど、帯はどうもうまくいきません。仕事も忙しく着付け教室へ通う時間もないし、手結びの本を買って自己練習。記憶をたぐりながら何とか出来るようになりました。そりゃ着付けてもらうほどにはきっちり美しくいかないけれど、まぁ見た目みっともないほどにはならなく着られるからいいかな。
着付け教室は何かといろいろ買わされるという印象があって通う気などさらさらなかったです(もちろん着付け教室が全てそうであるとは言いませんよ)。修正道具を使うのも嫌。いつも結婚式の披露宴に呼ばれるわけでも無し、日常の中で着るを念頭において。
テレビで京舞の井上流五代目の井上八千代さんの特集をやっていまして、お仕事柄毎日着物で過ごされるわけでして、もちろん自分で着られるのですが、そんなにきっちり着付けていらっしゃるわけではありません。しかし決してだらしがないことはありません。着崩れしていることもないのです。そのとき、ああこれでいいんだわ。判で押したようにこうあらねばならないなんてないんだわと思いました。だらしないことさえ注意すれば。
そうこうしているうちに五十肩になり腕が後ろに回りません。そのときは前結び。前で大体の形を整えてグルリと丁寧に後ろに回す。これが案外綺麗な帯形になるのです、なんせ前で鏡を見ながら結ぶので形が整うのです(笑)。何事も臨機応変に対処。それが私のモットー。(何せ臨機応変だからモットーも多々変わることあり(笑)) 実を言いますと、邪道かも知れないけれどこの前結びとっても楽でした。またうんと歳を取ったらこれを採用になるかもです。



そして8年ぐらい前でしょうか、雑誌「和楽」に森田空美(もりたあけみ)さんの着付けのDVDが付録に付いていまして観てみたところ、これなら帯も傷まず結べて五十肩にも優しいと、以来この結び方で結んでいます。「知的 着物入門」なんて本も買いましたよ。「知的」なんてずいぶん大仰な冠をつけているなと思いつつ、だからといってみんなこのように着たり着物を選べば知的になれるかといえば、そんなわけはないよねと悟りつつ(笑)、大人女性の魅力に満ちたはんなり素敵な美人さんの森田さんにすっかりはまりました。
といっても、森田さんの着付け教室に通うわけではありません。DVDでうまく着られます。彼女の都会的な着こなしには憧れますね。あそこまでは到底行き着けませんが、森田さんの美しいお姿に、コーディネイトにため息をついてページをめくる、それが分にあった暮らしでござりまする。好きだからといって心酔することはありません。洗脳されることもありません。彼女の真似たいところだけいただいて自分流にすればいい。

最近は街中でも和服姿の方を多く見かけるようになりました。タンスの中に眠らせておくのは勿体ない。風を通してあげましょう。私は母に着せてもらってその手順を覚えていたという素地はあったから、本やDVDで着られるようになりましたが、若い方は着付け教室に行かれるのも良いと思います。やはり自分できものを着られるのは喜びですから。