2015年12月の俳句

初雪のちょこんと帽子群雀  (はつゆきのちょこんとぼうしむらすずめ)

電線に雀が並んでうっすら雪をかぶり可愛らしい光景でした。お揃いの帽子をかぶっているようで。
余談ながら「むらすずめ」は群れている雀のことですが、「むれすずめ」と読みますとマメ科の落葉低木のことになりますので披講にも注意が必要です。
季題は初雪。



表沙汰せぬがよろしと山眠る  (おもてざたせぬがよろしとやまねむる)

知人の逢い引きを見つけ「見ちゃった、見ちゃった」と噂に乗せたいところですが、大人は我慢しましょう(笑)。
季題は山眠る。冬山があたかも眠っているように静かに見える様です。人の秘め事にも静かに見なかったふり、寝たふりをして がよろしいようで。



夕焚火見えて安堵の下山かな  (ゆうたきびみえてあんどのげざんかな)

トレッキングに行きますとやはり事故無く帰ることが先決です。う?この道で間違っていないよねと時に不安になることもあります。そんなとき村里の焚き火が見えますと胸をなで下ろします。「老女、遭難!」と新聞沙汰になりたくないし、ましてや「えっ!あんな低い山で」と思われるのも避けたいです。
季題は焚火。



冬深む稚児のほっぺの丸い赤  (ふゆむかむちごのほっぺのまるいあか)

姪っ子が赤ちゃんの頃、冬になると頬がまぁるく赤くなり、真冬になると更に色が増しました。田舎の子とからかっておりましたが、可愛かったです。そんな冬の思い出。
季題は冬深し。真冬をさします。



地球儀の行きたき国や煤払  (ちきゅうぎのいきたきくにやすすはらい)

季題 煤払は新年を迎えるために家の内外の煤埃を払い清めることですね。寺院などでは決まった日に長い煤竹で清めています。昔は一家総出で大掃除をしたものです。子供は先ずは自分の部屋から。地球儀の埃を払いながら「あぁ、この国に行きたいな」と夢を膨らましたものです。掃除は捗りません。