PICASSO ピカソ 青の時代を超えて

 箱根ポーラ美術館開館20周年記念展。ぶらぶら美術・博物館 (BS日テレ)でやっていまして、これは観に行きたいと14日行ってきました。
タイトルの通り、ピカソを語るのに「青の時代」を抜きにしては語れないのでしょう。
そもそもピカソの「青の時代」とは? 「1901~1904年頃(20~23歳頃)に親友 カルロス・カサジェマスの死がきっかけとなりピカソ鬱病になり、青を基調とした暗い色の作品を描いた時期」とのこと。描いた対象は、社会の底辺の人々、物乞い、盲人、売春婦などです。



チラシの作品は「海辺の母子像」(1902年 ポーラ美術館)
ポーラ美術館の説明によると「地中海をのぞむこの海岸は、ピカソが通った美術学校の目の前に広がる浜辺で、ピカソが親友カサジェマスと過ごした学生時代の思い出の場所です。母親がまとう衣は、スペイン人が熱心に信奉するキリスト教の、聖母マリアの青いマントを思わせます。蒼白い手を伸ばして赤い花を天へと捧げる姿には、亡き友人へのピカソの鎮魂の祈りが重ねられているのかもしれません。」
母の持つ赤い花の赤をチラシの上部にも持ってきているところが、このチラシのこだわりかと。天へと届いたという気持ちを持たせてくれます。


「酒場の二人の女」(1902年 ひろしま美術館)
テレビの画像や印刷物より、はるかに青の印象が良いです。寂しさがつきまといますが、美しい青でした。イチオシの作品です。というか私が力説しなくても有名な作品です。スミマセン。
ブログで実在の色が再現できなくて残念です。


「アート・ヒストリー✕サイエンス 最新のピカソ研究」
この頃のピカソは、カンヴァスの再利用を頻繁に行っており、多くの絵画の下層には、異なる構図の絵画が隠されているということで、国内外の研究者の科学的な作品研究の成果も取り上げられ青の時代の絵画に隠された制作プロセスの変容を紹介するコーナーもありました。

青の時代を超えて、ピカソはキュビスムへと移行していきます。その中で私が一番気に入った作品は、「葡萄の帽子の女」(1913年 ポーラ美術館)です。当時の恋人エヴァ・グエルの肖像画。丸いつぶらな瞳と肉感的な唇(反転しています)。葡萄の丸さも好きです。



今回の展覧会でやはり外せないのは「ラ・ガループの海水浴場」(1955年 東京国立近代美術館)。1956年 アンリ・ジョルジュ=クルーゾー監督の映画『ミステリアス・ピカソ 天才の秘密』で、ピカソがカメラの前で描いた作品の第一作とのこと。この作品も何度も描き替えられ、そのプロセスの変容を紹介する映像もありました。