村上隆の五百羅漢図展


六本木ヒルズ森美術館で開催されています。お正月に行ったのですがすごい行列で平日に行こうと出直し昨日行きました。空いていました。ゆっくり鑑賞できました。そして写真撮影OKでしたので尚のこと嬉しい。でも作品がでかいのでそんなには撮れません。
さすが撮影は許されていても作品の前に立ち記念撮影している人がいないのは助かる。自撮り棒を伸ばされては迷惑ですからね。













村上隆さんに少し触れておきますと、1962年生まれですから54歳。東京芸術大学日本画を学びました。高校生の頃はアニメーターに憧れたとのことで、また一方日本画にも興味があり、大学では日本画を専攻したのです。ところが画廊などでお金持ちのお爺さんやお婆さんをみて、おれはこういう人たちを満足させられる絵が描けるのだろうかと疑問を自分に投げかけ、いや違う、それで現代美術の方向に目を向けられたとのことです。
「日本人よりも外国人のほうが面白がって評価してくれる」と自ら語っておりますが、今回の「五百羅漢図」は2012年にカタールで初公開されました。カタールのマヤッサ王女に展覧会をと依頼され、どんな美術館がいいかと問われたので、過去に展覧会をしたロサンゼルスの美術館の図面を送ったら、同じ面積の美術館を建てちゃったそうで、そこまでしてくれたのだからそれに応える形で、見たことがない作品を作ろうと思ったとお話ししています。3.11の震災の衝撃も大きく五百羅漢へと発想が繋がったのです。




五百羅漢図は「青竜(東方を司る神)「白虎(西方を司る神)」「玄武(北方を司る神)」「朱雀(南方を司る神)」の四対からなります。一対が横25m高さ3mで全長は100mに及びます。※写真は左が「青竜」右が「白虎」。
「五百羅漢」とは釈迦の教えを広めるため、煩悩を滅し人々を救済するためにこの世にとどまっている聖人です。この信仰は平安時代に日本に伝わったとされています。



下の方に描かれている羅漢をアップで写しました。ユーモラスでちょっと頼りなさそうですね。この聖人たちに救済を任せられるかとちょっと心配になりますが(笑)

村上さんは江戸時代の絵師、狩野一信や長沢芦雪などの五百羅漢図に触発され五百羅漢図に挑戦しました。日本中の美術大学から200人を越えるスタッフを集め、3ヶ月くらいで完成しました。やはり日本画を専攻していただけあって、伝統的な画像を取り入れています。特に白虎は狩野派の虎図を踏まえているとのことです。

震災を受け、筆を持つアーティストとして何が出来るか? 自問自答し宗教性を込めた作品 村上隆の「五百羅漢図」。過去には「オタクの魂を搾取している」と批判も多かったアーティストですが、現代美術に日本画法を紡ぎ大きさと綿密さで観る者を圧倒します。
芸大 日本画で初の博士号を取ったアーティストですもの、やはりただ者ではありません。

下記のURLで360度パノラマの「五百羅漢図」観られます。
http://www.asahi.com/topics/word/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E9%9A%86%E3%81%AE%E4%BA%94%E7%99%BE%E7%BE%85%E6%BC%A2%E5%9B%B3%E5%B1%95.html