2011年11月の俳句

みちのくの一雨ごとの冬構

季題は冬構。風雪や寒冷を防ぐために備えることですね。一雨事に寒くなっていく北国は徐々に冬構えを施していきます。


隼やつばさ傾け空となる

隼は中型の鷹の一種。非常に早く飛び、弾丸となって鳥を襲います。ゆったりと翼を傾け獲物を狙っているのでしょうか、それとものんびりしているのか。いずれにしても空の主となっているようです。季題は隼。


お練りの子衣装も嬉し十夜かな

季題の十夜は十日十夜念仏を唱えるという法要です。浄土宗の寺院で行われ京都の真如堂が有名らしいです。僧侶や稚児のお練りがあり、なかなか盛大に行われているようです。


老人の憩ふ茶店の小春かな

吟行で石神井公園に行きました。その茶店での風景。お年寄りが3人、きっとこの茶店の常連さんでしょう。なごやかな雰囲気に日が当たりまさしく小春日和。季題は小春です。ぽっかりしたよい日和ですを意味します。


武蔵野の落葉覆いし城趾かな

同じく石神井公園での句です。石神井公園には城趾があります。鎌倉末期にこの辺りを治めた豊島氏の居城跡。園内は沼沢植物や雑木林が見られ、都内とは思えないほど緑豊かな武蔵野の面影を残しています。落葉が城趾を覆い落城の悲劇を鎮めているように思えました。