三枝成彰:オペラ「KAMIKAZEー神風ー」


先週の31日東京文化会館にて三枝成彰さん作曲のオペラ「KAMIKAZEー神風ー」を観ました。原作は堀紘一さん。指揮者は大友直人さん。オーケストラは新日本フィリハーモニー交響楽団世界初演です。三枝さん知名度は抜群ですが個人的には代表的な曲といってもよく分かりません。ちょっと仕事がらみで行ってみました。テーマが神風ということなので特攻隊員が主人公、内容的には暗いかな。でも美術が千住博さんなのでそちらに興味がありました。チラシの絵もそうです。
やっぱり重苦しい内容でした。特攻隊員の主人公(ジョン・健・ヌッツオ)と婚約者(小川里美)の悲恋。テーマがありきたりといえます。私たちの年代では今までにたくさんこのテーマでの本や映画を読み観てきましたから。日本で戦争といえばこのテーマという感じるほどに。
決して特攻隊員や戦死された方々を悪く言うつもりはありませんよ。そういう方々の苦しみの上にその後の日本の繁栄があるわけですから。そこは承知しておりますが、他の角度から戦争の悲惨さを訴えてもいいかなと思うのです。もうすこし若い人々の感覚にもピタッと訴えてもいいかなと思うのです。
でも曲は素晴らしかったです。沈んだムードは消し去れませんが綺麗で情緒的な旋律でした。ジョン・健・ヌッツオさんも安定していてさすがですし、ソプラノの女性二人も透き通るようで純粋さが出ていました。が、何をいっているのかよく分からない。食堂のおばさん役の声ははっきり歌が分かりました。実力の差?
舞台の最初と最後に「平和を私たちにお与えください」という言葉を世界各国の言語で合唱されるのは美しかった。世界の戦死者に対する鎮魂歌と受け止めました。
舞台演出はCGを使って戦闘機が離陸し空に飛び上がっていくシーンなどなかなかに斬新。千住さんの描く美しい桜を背景に桜の花びらが雪のようにはんぱなく舞台一面を覆い尽くす最後のシーンは感動的でした。

日本語でのオペラを観る機会は今回が初めてです。やはり日本語はオペラやミュージカルには向いていないのでしょうかね。違和感は否めない。妙に言葉が伸びたり短くなったり。驚いたことに歌詞の字幕がでます。日本語の歌詞に日本語の字幕が、、、でも字幕がなければ何を歌っているのかよく分かりません。これはこれで正解なんだもん。それで思うのですがイタリアオペラなど現地の方々は母国語がオペラになった場合、日本人のように違和感は感じないのかしら?アメリカのミュージカルは英語と音楽がピタッと決まってますよね。どうして日本語はしっくりいかないのかな。言語もあるけれどもっともっと歌詞に推敲を重ねるべきであると。折角の日本の作曲家による日本語のオペラなんだから。訳詞ではないのだから。