立纓を真っすぐにして雛飾る
(りゅうえいをまっすぐにしてひなかざる)
立纓は内裏様の冠の後ろの黒い帯です。このように立っている帯を立纓といい、垂纓(すいえい)はたれている纓です。
はい、私几帳面でして、まっすぐにしごいて飾ります。季語:雛
檜葉敷かれ鱵光りて五列かな (ひばしかれさよりひかりてごれつかな)
鱵は針魚とも書かれ、あの細長い華奢な魚。下顎が長いですね。高級魚ですので魚屋で檜葉の上に並んで大事そうに扱われています。刺身は淡泊ながら甘く私の大好物。春を告げる魚です。季語:鱵
大人びた仕草覚へて春ショール (おとなびたしぐさおぼえてはるしょーる)
なんかショールを巻くと大人になったような感じがするもんです、女の子は。冬のマフラーは防寒が第一義ですが、春ショールともなるとお洒落を意識して装う感じになるのでしょう。季語:春ショール
人は殻持たぬに作るシャボン玉 (ひとはからもたぬにつくるしゃぼんだま)
ショールを巻くぐらいならいいんですけどね。どうも殻を作ってしまいますね。シャボン玉のようにすぐ消える殻ならいいですが。季語・しゃぼん玉
千枚田ずり落ちそうに山笑ふ (せんまいだずりおちそうにやまわらう)
先日、林遣都君主演の映画「しゃぼん玉」を観ました。ことのほか良い映画でした。市原悦子さんの婆ちゃん役がとても効いていて、やはり名女優さんです。舞台が宮崎の山村。棚田があって美しい風景でした。ちょうど兼題に「山笑ふ」が出てましたのでこの句を詠めました。季語:山笑ふ。春の山も木々が一斉に芽を吹き出し力がわき出て、それが笑っているようだと明るい山を例えています。
俳句のお約束;四角い色紙には五/七/五と三行に書いたりしますが、句会では短冊に書いて投句しまして五七五は間を開けずに続けて書きます。ですので基本俳句は間を開けずに書くのがルールです。読みにくかろうと間を開ける人がいますが、開けちゃいけませんことよ。