柳家三三 独演会

昨日4/10の夜虎ノ門イイノホールに行ってきました。まあイイノカンファレンスセンターの立派な近代的なビル! その4階にあります。このホールは今回初めて行きます。やはり新しいビルは気持ち良いです。古くなったホールは空調設備も悪く気分が悪くなります。立て替え前の歌舞伎座などは座席も古びて長時間ではお尻が痛くなるし、ダニがいるのか痒くなるしで好きでは無かった。
さてそんな心配の要らない新しいホールで三三(さんざ)さんの落語を楽しみます。少し風邪気味なので咳が出るといけません、のど飴を持って。




柳家三三さんは小三治さんの弟子。1974年神奈川県小田原市生まれ。古典落語を得意とします。愛称はミミちゃんだそうです。この愛称が似合うかどうかは、、本人は気に入っているようです。
小田原といえばかまぼこ。それだけに高座姿は板に付いている と本人は言っています。







〜〜〜〜〜本日の演目〜〜〜〜










独演会といえども前座に若手が登場することはままあります。どこが独演会だと堅いこと言わずに、若手に高座の機会を与えてやりましょう。
扇(せん)ちゃん。女子です。林家木久扇のお弟子さん。あのラーメンの笑点の黄色の着物の師匠です。師匠に選んで大丈夫かい? と心配になりますが、これからが楽しみな噺家さんです。
悋気の独楽」ヤキモチ焼きの商家の女将さん、旦那さんの浮気を疑っています。丁稚に旦那の尾行を言いつけますが、その時々の状況で女将さんについたり旦那さんに付いたりの丁稚。
旦那さんのお妾さんにねだってもらった三つの独楽。花柳会では旦那・奥さん・お妾さんと見立て旦那の独楽が奥さんに近寄ればこんばんは帰る。お妾さんの独楽に当たれば泊まると占ったとか。女将さんにきつく言い詰められて独楽を出し回す丁稚。さて旦那さんの独楽はどっちに当たるか。何度回してもお妾さんに当たる。かっかとなる女将さん。「肝心の心棒(辛抱)が曲がっています」
やきもちもほどほどがよろしいようで。


「やかん」「付き馬」「藪入り」と三席は三三。

「やかん」 あの湯を沸かすやかんの名の由来です。知らないものはないと豪語するご隠居。たまにはへこましてやろうと八五郎。まずは魚の名前から。
マグロは真っ黒だから。ホウボウは落ち着きがなく方々泳ぎ回るから。コチはこっちへ泳いでくるからという具合にこじつける。茶碗は置くとちゃわんと動かないから茶碗。土瓶は土で、鉄瓶は鉄でできているから。じゃあやかんは?と八五郎。昔は水沸かしといった。川中島の合戦で兜のない武士がそばにあった水沸かしを兜代わりに被ってそこに敵方の矢が当たってか〜んと音が鳴る。それでやかん。


「付き馬」 付き馬とは、吉原の遊郭で持ち金以上に遊んでしまった客がいた場合、馬子が掛け取りに行ったのですが大金を持った馬子が出来心でそれを盗んでしまう事が続出し。廓の従業員がそれを代行するようになったそうです。
持ち金以上に遊んだ男、代金回収のために付き馬が家までついて行きますが、その男途中いろんなものを買っては手持ちがないのでと付き馬に払わせます。
すみません、私このころから眠ってしまいました。なんたる不覚。風邪気味であるのと前夜の睡眠不足がたたったのか、それとも開演前に飲んだ白ワインがきいたのか、たぶん全部。初めて聴く噺なのでオチが分かりません。いずれにせよ付き馬は詐欺にあったようです。

これで仲入りとなったので目はすっかり覚めました。いや覚めて見せます!!


「藪入り」 これは涙無くして聴けません。別に悲劇ではありません。幼いうちに一人息子を奉公にだした父母。明日は3年ぶりに藪入りで帰ってきます。嬉しくて寝付かれない。旨いものを好物をたんと食わせてやりたいと、あれもこれも用意してやれと言うおとっつぁん。まあうるさいね分かっているわよとおかっぁさん。食べるものからあれも見せたいこれも見せたいとふくらむおとっつぁん。浅草の仲見世をみせてやりたい、ついでに品川の海を、そこまでいったらちょいと足を伸ばして川崎大師、江ノ島へ。どんどんとうとう果ては九州まで。馬鹿だねおまえさん、一日で行けるわけ無いだろう。もうこのあたりで親心に私は涙が出てきます。
待ちに待った夜が明け、帰ってきた息子、お行儀よく挨拶をし大きくなった姿に父も涙で見られません。お小遣いで買ったと土産を出す。店の旦那さん・奥さんからの土産も出します。
疲れただろうから湯に入ってこいと銭湯に行かせます。その間に母親がこっそりお小遣いを入れてやろうと財布を開けるとなんと五円札三枚が小さく折られて入っています。こんな大金子供が持っているはずがないと不審に思う父母。風呂から帰ってきた息子を問いただします。店の金を盗んだんじゃないかと。
そのころペストが流行ってネズミを退治して交番に持って行くと一匹5円の懸賞がつきました。息子はそれに当たったのです。大金を子供が持っていてはよくないと店の旦那さんが預かってくれて今朝渡してくれたのでした。
事実を知ったおとっさん、おかっさんは胸をなで下ろします。「これからもちゅう(忠)に励めよ」