よってたかって夏らくごNIGHT 2014

5日の土曜日夜、有楽町のよみうりホールで開催されました。よみうりホールは古くて狭くて好きではないけれど、仕方がない、出演者がいいので行きました。よくこのホールで落語がかかるけれどホール賃貸料が安いのかしらね。落語は入場料も安いし、主催者も賃料が安ければやりやすいのかもですね。なんてよそんちの懐具合を気にかけてどうするって話ですね。失敬失敬。

桃月庵白酒春風亭一之輔柳家三三・柳亭市場 の各師匠。春風亭一之輔師匠は初めてですが上手いという噂は聞いております。









前座の柳亭市助さん、もう2日も経つと顔も噺も忘れちゃいました(笑)。忘れられないよう頑張ってね!

桃月庵白酒(とうげつあんはくしゅ)師匠は、はち切れそうなほっぺが魅力。1968年生まれの45歳。鹿児島出身です。早稲田大学を中退して五街道雲助に弟子入り。前座名は「五街道はたご」。なんでこう落語家の名前はユーモアに富んでいるのでしょうか。2005年に真打に昇進、「桃月庵白酒」を襲名しました。
今日のお題は「宗論(しょうろん)」。浄土真宗の父親は息子がキリスト教に熱心なのが気に入りません。今日もまた宗教をめぐって口論。仲裁に入る使用人が言うには「旦那様、宗論はどちら負けても釈迦の恥て言いやす。どうか若旦那を許してくだんせえ」。
父親が「確かにその通りです。そんなことを言うお前さんも真宗(信州)かな」「いいえ。おらあ仙台生まれだから奥州でがす」


春風亭一之輔師匠は1978年生まれで36歳。うんと若手ですね。BSジャパン「酒とつまみと男と女」という居酒屋をめぐっての人生談義に出ていて、すこし生意気そうな感じに興味を持ちました。2012年に21人抜きの抜擢で真打昇進。数々の賞を受賞し実力もほんまもん。
老舗の料理屋「百川」の奉公人になった田舎者の百兵衛。かなり田舎訛りが酷いのです。主人も雇ったはいいが何を言っているのかちんぷんかんぷん。ところがお客の手がなるものだから主人は不安に思いつつ、百兵衛にご用件を伺ってくるように命じます。まあそれからが、、、酷い訛りに本人もみんなも大変。オチは訛りを書くのが大変なので省略させていただきます(笑)。


柳家三三師匠。今年の4月に独演会を聞きに行きました。そのときから比べるとずいぶん痩せられました。ダイエットとのことですが、病気でなければと思います。
「夏泥」 ぬかるんだ泥ではありません。泥棒の話です。泥棒から金を巻き上げるしたたかな男の痛快話です。貧乏長屋に入り「おい、金を出せ」と寝ている男を起こしてすごんでも、動じない男。日雇い労働者で稼ぎも博打ですってんてん。一文も無いという。食べるものもないので飯代を貸してくれと泥棒にねだる。気の良い泥棒は飯代を出してやる。つけこんで男はおかず代もと。万事がこんな調子でせびる男。泥棒がいい加減にしろと断われば、その度に「どろぼう!」と大きな声を出すぞと逆に脅す。げんなりして引き上げる泥棒はたばこ入れを忘れます。たばこを吸わない男は返してやろうと「お〜い、どろぼぉ」と呼び止めるのですが、泥棒は「間抜けめ、どろぼうと呼ぶやつがあるか」と怒りますが、男は「だって名前知らないもん」 
そもそもこの長屋に泥棒に入ったきっかけは蚊燻しが付けっぱなしになっていたので火の用心が悪いと。蚊ですので「夏泥」と題がついているんですね。いやぁ、題の付け方も粋だね。


柳亭市場師匠。この6月に落語協会の会長に就任したばかり。52歳の若さです。目と目の間が離れたヒラメちゃん。優しい笑顔が魅力です。
「大工調べ」 大工の与太郎は家賃を滞納して、そのカタに大工道具を大家に取り上げられています。道具がなければ仕事にならないので、棟梁(とうりゅう)が大家の家に出向き返してくれるよう交渉します。全額には足りないけれど今日のところはこれで勘弁してくださいと自分の金を出す棟梁。全額でないと道具を返さないと意地悪で強欲な大家。堪忍袋の緒が切れた棟梁はさかのぼって大家の悪口をいいます。与太郎におまえも言えよと便乗させられますが、全く迫力のない与太郎。悪口どころかお祝いの言葉まで言い出す始末。ここまでが「大工調べ」の上。下は口論になって埒があかないので奉行所へ持ち込んでうんぬんかんぬん。今回は上だけでしたのでオチがありません。ただ市場師匠の上手さを堪能。いつか独演会で全編を聞いてみたいです。