TDC建築セミナー 「新国立競技場の木材使用」 その一


6/7の夜、五反田のデザインセンターのガレリアホールで建築家 隈研吾さんの新国立競技場のデザインについてのセミナーがあるというので行って参りました。ガレリアホールは昔仕事をしたことがありまして、以来こういった案内をいただきます。
名前負けせずデザイン性に優れた建物です。真ん中の階段にはここに入っているイタリア料理のお店のシンボルの馬の像が見えています。このイタリア料理は結構いけます。セミナー前に軽く食事をと思いましたが、本日は貸切。セミナー後隈さん達の食事会かなんて、要らぬ詮索をするのであります。
ちなみにこの建物は隈さんの設計ではありません。イタリアの建築家です。




隈研吾さんの経歴はwiki先生のところにお訪ねくださればお分かりになると思いますので早速セミナーの内容に、といっても最近は記憶がしっかりしません。メモするも暗いホールの中で書き殴るので後になって自分でも読めないんでございますの、記憶違いのある部分はお許しくださいませ。

そもそも隈さんの木・木材との出会いは、実家が木造建ての家で古くて子供の頃はその家が嫌いだったと。しかし成長するに付けまた建築家を目指して学ぶうちに木材に木造に興味を持つようになりました。そして作品には木材を多く使うようになります。





隈さんの作品を紹介されながらセミナーは進みます。浅草文化観光センターです。雷門の向い側の角地でわずか326㎡の敷地ですのでペンシルビルにならざるを得ません。
木造の平屋が七つ(七階)を積み上げたデザインです。イベントスペースでは常設ではないけれど寄席も開かれているとのこと、今度聴きにいってみたいです。













福岡のスターバックス太宰府天満宮表参道店。店舗の入口から店内にかけて伝統的な木組み構造を用いています。木の温もりとともにコーヒーをいただく時間に身を置きたくなりますね。









このほか海外での隈さんの作品もいくつか紹介されました。そして木材についてのお話しにいくわけですが、国も建築家達も教訓とした二つの大災害があります。1つは1755年のポルトガル リスボン地震。もう一つは1871年のシカゴの大火です。木造は火事に弱いですし、これで鉄筋・コンクリートの開発が進むわけです。災害に勝てる建物として。しかし、鉄筋コンクリートの寿命は200年とされています。この間の関東大震災津波でもろともなく流されるコンクリートの建物もありました。人工物を越える自然の力への恐怖、この災害でまた教訓を得るのです。木すなわち自然に対する畏怖をもち、山を川を守る循環の営みの大切さ。木はやっぱり火事が怖いから…確かにそうですがこの20年間で木材の不燃等の技術は相当進んでいるとのことです。
さて余談ながら、こんな話を隈さんはしてくれました。明治神宮、今はあんなにも木々が育っておりまして昔からの林かと思っておりましたが、そもそも荒れた原っぱで、日本各地から木々を集め植栽した人工林なんです。その神宮の森、第二次世界大戦時、対戦国のアメリカは当時長年日本に住み着いて日本を愛したアメリカ人を呼び寄せ、東京を燃やすには何が良いかと尋ねたらそのアメリカ人は木が多いので焼夷弾がいいと進言したそうです。日本大好きで暮らした人がよくもまぁ言うわと呆れますね。それで、焼夷弾を数多落としたわけですよ、しかし、明治神宮の本殿は燃えたけれど、林を燃えなかったそうです。
どうです、日本の各地から木を守り育てた人々の魂がアメリカに勝ったんのです!(とこれは私の弁です)

ちょっと長くなりましたので、タイトルである新国立競技場の木材使用については次回にいたします。みんなが興味のある聖火台についても隈さんはお話ししています。