悲しみの静かな雨や桃の花

三月三日、茶道のお仲間のM枝さんが天に召されました。熱心にお稽古に励まれており教えていただくことも多かったです。お稽古だけでなく茶会にご一緒したことも、社中で旅行したことも楽しく思い出されます。お優しく、先輩に対して失礼ながら可愛らしい方でした。
昨日六日が告別式でした。社中揃って参列させていただきました。ご主人のお話によりますと、発病して以後、死への覚悟を持たれて、ご家族が困られることのないよう身辺整理を行われていたとのことです。
お稽古にもできる限り出席されました。病気にめげることなく前向きに過ごされた一年半でした。その強く柔軟なお考えはM枝さんの持たれている教養であると思っています。
一月の初稽古が最後のご一緒となりました。その前後は痛みが酷くお辛そうとのことでしたが、初稽古のときは痛みが嘘のように治まりご主人が送り迎えをされ、一碗のお茶を共にいただきました。お家に帰られても楽しかったわと仰っていらしたとか。我々仲間に優しく楽しげなお顔を最後に残してくださったこと、嬉しく思います。

そして最期の病床に付されていた二月に社中一同へのお手紙を書かれておりました。それも文字は乱れることなく。本当にしゃんとした方でした。人たる最期の過ごし方をM枝さんから教わりました。

         春星のひとつとなりて微笑みし