近江の美仏巡り 一日目

 はい、私ミーハーなんで(それがなにか・・・)、「白洲正子が愛した」「70年ぶり・50年ぶりの御開帳」のうたい文句に惹かれてツアーで参加してきました。白洲正子さんが近江の寺はお気に入りということは知っていたので、いつか廻りたいと思っていました。結構点在しているので個人では厄介かなとツアーを選びました。
10/11(水)朝早い新幹線に乗って、お一人様参加は三人席があてがわれます。まぁこれで何となく道中のお仲間になりますわね。

米原に着いてそこからはバス移動になります。一日目の最初に訪れたお寺は長浜市高月町にあります「向源寺」。

今から1300年前疱瘡が大流行して、聖武天皇が除災祈祷のため僧泰澄に十一面観音立像を彫らせたということです。
仏像は撮影禁止ですので、お寺のHPを
douganji-kannon.sakura.ne.jp

国宝です。とても綺麗な慈愛に満ちたお顔をしていらっしゃいます。腰をわずかにひねって官能的と言われます。平安時代の特徴で美しく、奈良法華寺の十一面観音と併称されているそうです。
(2日間の全ての仏像を観ての感想ですが、この十一面観音立像が一番良かったと思いました。)

次に向かうのは、湖南三山(長寿寺・常楽寺善水寺)。1時間半くらいバスに乗ります。途中でバスの車窓からの蕎麦畑。白い花が可愛かった。そば処ということですが、残念ながら蕎麦を食べる機会はありませんでした。



長寿寺は聖武天皇天平中(729~748)に良弁僧正によって建立されました。お子様を一人亡くされた天皇は授かった皇女の長寿を祈って寺号をつけられたということです。この本堂は国宝です。寄棟造で檜皮葺の屋根。屋根の形は「てりむくり」と呼ばれ、なだらかな反転曲線が美しいですね。
内部の説明を引用しますと

長壽寺が国宝に指定された所以は、その構造の珍しさにあります。
断面図を見ると、本堂内部に三角屋根が二つ並んだ構造をしていることが分かります。
大きな屋根の下に二棟の建物を並べて配置しています。
このような建築形式を採っているのは、かつて正堂(仏像を安置するお堂)と礼堂(お参りするお堂)を別々に建てた双堂(ならびどう)の形式を踏襲しているためです。この双堂形式を残す本堂はほとんど現存しておらず、奈良の當麻寺さんや福井の妙楽寺さんなど数例のみです。


重要文化財の仏像はこちら
chojyuji.jp

檜皮葺の屋根の張替えがそれは大変で高額(600万円)で、それを支える村人は700名とか。窮状に救いの手、米原市在住の切り絵作家早川鉄兵さんの作品を販売してその収益を当てると。はい、ツアー客は殆ど買い求めました。住職が好印象で応援したくなりました。


常楽寺
長寿寺を「東寺(ひがしでら)」常楽寺を「西寺(にしでら)」とも呼ばれています。常楽寺は本堂・三重塔が国宝です。708~715年に良弁僧正が開基しました。1360年落雷により全焼しましたが、同年僧侶観慶により建立され、その後三重塔、山門が建立されました。入母屋造檜皮葺きです。本堂の後ろは散策道になっていて穏やかな秋日和に気持ちの良い散歩になりました。


善水寺
奈良時代和銅年間(708~715)に元明天皇勅令により草創され和銅寺と号されました。時を経て桓武天皇の病に対し池水を病気平癒の祈祷をし霊水とし天皇に献上したところ、たちまちに平癒されたとい言います。その縁で「善水寺」と寺号が変わったということです。
この本堂は国宝です。入母屋造檜皮葺き。


第一日目はこの4つの寺・仏像巡りでした。ツアーの参加者は仏像好きで詳しくオペラグラス持参。大体において寺内は暗く、仏像の細部を観察するには確かにオペラグラスが必要ですね。素人の私はただただ目を凝らすのみ。仏像にもだんだん疲れてきました。