ボストン美術館展・高橋由一展

両方とも上野でやっているので好都合、しかしボストンの東京国立博物館は混みます。地方からバスツアーに組み込まれたりしているので並ぶことは覚悟しなくてはいけません。それで開場の9:30を目指していきましたがそこそこ並んでいます。でも20分くらいではいれたからよしです。
ボストン美術館〜日本美術のの至宝〜。なぜこんなにも沢山日本美術がボストン美術館に所蔵されているかと不思議でしたが納得です。明治まで神仏習合でしたが維新により神仏分離令が出され廃仏毀釈運動が起こり、貴重な仏像や絵画などの美術品が破壊されていたんですね。それはいかんということで、当時東京大学で哲学の教鞭をとっていたアーネスト・フェノロサやその生徒であった岡倉天心が収集を始めたのです。フェノロサボストン美術館に在籍していたこともありますから。当時の東洋美術コレクターのウイリアム・スタージス・ビゲローがボストン美術館に寄贈してりして、素晴らしい作品の数々が所蔵されており、今回の展覧会は名だたる作品ばかりです。
日本初公開となる曾我蕭白の最高傑作「雲龍図」、長谷川等伯尾形光琳伊藤若冲など「まぼろしの国宝」とも呼べる日本美術の至宝が揃って里帰りですよ。
さすが奈良時代の絵は色が薄れ黒くなり、照明が暗いこともあって人が多いこともあって(近くに寄れない)何が 描いてあるのかよく分からんものもありました。

私は快慶作の弥勒菩薩立像(鎌倉時代)がとても印象に残りました。若々しいお顔に金色に美しく輝き抜群のプロポーション。優雅に天衣を纏っています。





さあ、ちょっとお茶して東京藝術大学 大学美術館の高橋由一展です。ねえ、看板のコピーにあるとおり「あ、思い出した、あの鮭だ。」この現物を見られるなんてちょっと興奮。あの切手や教科書で馴染んだ、あのリアルな塩鮭。どなたの記憶に蘇る絵です。高橋由一は日本油絵の先駆者「近代洋画の開拓者」と言われています。鮭の絵は思ったより大きく1.2mもあります。この写実が好評を得て気をよくした由一は同様な鮭は数点描いたそうです。その3点が展示されていました。
風景画や肖像画など沢山描いておりますが、私的には鮭や甲冑などの静物画が優れていると思います。生活に身近なモチーフを描きそれがそっくりであることを目指した彼の世界、その当時日本にはこんなリアリズムなかったですからね。とても惹かれます。