2011年10月の俳句


里山の主役となりて櫨紅葉

櫨紅葉(はぜもみじ)が季題です。楓などに先立ち、紅葉の季節を真っ先に告げます。澄んだ秋空に深紅一色に燃え上がる姿は見事ですね。いつもはひっそりしている里山に真っ赤に燃える櫨の木、目立ちます。




長月に手足たたみて猫眠る

秋も深まり夜もいよいよ長くなってきました。そんな秋の夜、猫が塀の上で手足を折って丸く眠っていました。季題は長月。


揺るる葉や色なき風を纏ひをり

季題は色なき風。もの悲しい秋にピッタリのきれいな言葉ですね。こういう兼題を出されると意欲がわきますが難しくもあります。素直に詠んでみました。


紫蘇の実の味噌和え母の味遠く

刺身のつまによく使われているあの紫蘇の実が季題です。紫蘇の実は塩漬けや醤油漬け・味噌和えと保存食として重宝しますね。挑戦してみますが、どう頑張ってみても母の味には及びません。


音もなく空動かして鳥渡る

季題は渡り鳥(鳥渡る)。俳句の世界では渡り鳥と言えば越冬するため飛んでくる鳥をさします。空高く大群の鳥が飛んできています。羽ばたきの相当な音はしているのでしょうが、地上からは遠く音は聞こえません。空を動かしているのに無音である情景を詠みました。