2012年6月の俳句

夏木立電車見えたり隠れたり

渓谷を走る電車、まあるくこんもり茂った木立が並んでいます。何両の電車かなと数えるのが難しい。季題は夏木立。


母に似る姉の仕草や茄子の花

季題は茄子の花。薄紫の可愛い花ですね。花はほとんど無駄なく実るので、親の説教も無駄がないという例えにも使われるようです。姉たちの言葉などたまには耳を傾けようかな。


野仏のひっそりおはす木下闇(こしたやみ)

木がうっそうと茂って昼でも暗い木下闇、季題です。少し怖い感じで早く通り抜けたくなりますね。苔生した石仏が大丈夫と優しく云ってくれそう。


猊鼻渓(げいびけい)追分しみる夏の川

数年前に岩手県猊鼻渓の舟下りに乗りました。船頭さんがげいび追分を歌ってくれるのですが、それがまた風景にぴったり。情緒がありました。季題は夏の川。


梅雨に入る傘よけ合ふや江戸しぐさ

江戸しぐさ」という言葉が使いたかった(笑)。ちょっとの心遣いが嬉しいですね。季題は梅雨。