横須賀美術館 「国吉康夫展」

6/30の土曜日あまりにも良い天気だったので海沿いをドライブしようということになり、丁度私も「国吉康夫展」を観たかったので横須賀美術館に行きました。

横須賀美術館は開館が5年前。モダンでオシャレなガラス張りの建物です。地下2階地上2階で裏は観音崎の自然の森に続いていて近代的ながら周囲の風景を壊さない空間です。しかしなにやら若い女性が多い。「へぇ〜、国吉康夫が若い女性にこんなにも人気かと思いきや、特別企画展でロックバンドの「ラルク アン シェル20周年展」をやってました。私は全然知らないバンドです。





国吉康夫は1889年岡山県で生まれ1906年17歳で職を求めて単身アメリカに渡ります。仕事の傍ら学校に通い先生に美術を勧められデザインスクールで学びます。
画家としてデビューした当時、アメリカ国内はアメリカ美術への意識が高まり、ヨーロッパ美術の伝統に縛られることなく独創的なイメージで描くことに目が向けられ、国吉の描く絵はまさにそのような絵であり好意的に迎え入れられ成功していきます。



1923年の作品「二人の赤ん坊」。この頃国吉は顔の丸い大きな頭の子供をよく描いております。アメリカンフォークアート・キュビズムの影響を受けて平面的で幻想的なものが多いです。


















1925年・28年と二度にわたってヨーロッパに旅行をしますがそれを契機に幻想的な画風から写実的な画風へと変わっていきます。
憂愁でけだるさを漂わせて孤独な感じの女性は彼の女性像の中心モチーフになっていきます。1930年代は彼の絶頂期でこんな女性を多く描いています。一連の女性の絵を私は大好きです。上の絵と同じ人が描いたとは思えないほど画風が違いますね。
















1943年の作品「制作中」。モデルに背を向けてキャンバスに向かっている自画像。モデルを使うんだけれどモデルをそのまま描くのではなく自分のモチーフがあってそこにモデルをはめこんでいる感じでしょうか。なんかモデルが不服そうな顔をしているように見えますね(笑)。















日米開戦により敵国人として反日ポスターを描いたり微妙な立場に立ちます。戦後は重々しい雰囲気の絵が多くなり仮面を付けた人物像も多く描いています。17歳で渡米して以来帰国したのは父親の病気を見舞った時だけです。アメリカ市民権を得られる直前1953年に亡くなりました。20世紀前半のアメリカを代表する画家として世界的な評価を得ています。