損保ジャパン東郷青児美術館 「ジェームス・アンソール」展


ジェームズ・アンソールはベルギー近代美術を代表する画家のひとり。BSのぶらぶら美術館で紹介されて興味を持ち行ってきました。画風は19世紀〜20世紀の多くの画家たちのなかでも個性的なもので、仮面や骸骨をモチーフにグロテスクな中に人間の心の奥底にひそむ感情を表現しているようです。でもそれが気味が悪いとかホラーっぽくなく滑稽な感じにとらえられます。ポスターの絵は「陰謀」というタイトル。女性、誰かに似てますね。M・ジャクソン。



私が好きだった絵は「首吊り死体を奪い合う骸骨たち」。おどろおどろしたタイトルです。首を吊った男の前でモップと箒で争う骸骨。横たわった骸骨は戦いに敗れたのでしょうか。その様子をのぞき込む両脇の扉の仮面達。奇々怪々な光景ですが滑稽に見えます。色使いが好きです。







こういった特徴の絵は作品は1885年〜1895年頃に集中的に描かれましたが、初期には原色を多用した室内情景や静物画などを描いています。1881年の作品には明るい絵があります。「牡蠣を食べる女」光を強調した外光描写。光の具合が見事です。この絵は当時女性が食事をする描写は下品ということで総スカンを食ったらしいです。



アントワープ王立美術館所蔵のアンソールの作品を初め同時代の画家の作品が展示されていました。でもアンソールの作品だけでも充分だった気がします。