どうですかねぇ〜30

俳句勉強会の先輩T子さん、ふくよかでのんびりされた先輩です。年に数回吟行の後などお茶することがあってお話ができます。その中で大うけした逸話。
実家は九州で名家のお嬢様。乳母日傘で育たれました。東京の学校を出られて東京にお輿入れ。なんでもお手伝いさん付きでお嫁にいらしたとか。お手伝いさん付きですから家事一切はできません。でもご主人はサラリーマン、そんな余裕はないからとお手伝いさんはしばらくして帰されました。

さあ、それからが大変。なにせお料理はできない。格闘の日々だったらしいです。見かねたお姑さん、大事な息子に何食べさせられるか不安になったのか同居することになりました。そんなある日、ワカメのお味噌汁。T子さんはワカメを切らず長いまま入れました。驚いたお姑さん「実家では切らずにこのように食べていたの?」と。お嬢様だけど負けん気の強いT子さんは「はいそうです」。と澄まして答えちゃいました。お姑さんもそれ以上は何も言わずずるずるとワカメを食べたそうです。しばらく3人は長いワカメをずるずると食していたんですね。
そんなある日T子さんのお母様が九州から上京、さて夕食になってワカメのお味噌汁を出したら、お母様はびっくり!「ワカメは切らないの?」と。これでお姑さんやご主人に嘘がばれちゃった。


姑vs嫁のバトルの間に立つご主人は大変。お姑さんには「T子だって一生懸命やっているんだから」、T子さんには「そうですけれどの一言が多い」と言いきかせつつ数十年。苦労が分かりますね。
もうお姑さんも他界されていますが、「今思えば私のこと思って言ってくれたのだと分かります」とT子さん。
どうですかねぇ〜、やっぱりワカメは切りましょうね。今はカットワカメなんて便利なものがありますが、当時にあればT子さんも難なくスルー出来たのにね。