2013年10月の俳句

すり減りし地蔵の顔に秋の雨

季題は秋の雨。里山を歩いているとお地蔵様によく会いますが、みんな年月を経ています。



男の子床屋帰りや新松子

季題は新松子「しんちぢり」と読みます。今年出来た青松かさのこと。俳句をやって初めて知る言葉です。丸坊主になった坊やが浮かびました。





美しき伏目に秋思誘はるる

もののあはれは秋こそまされ」と徒然草にありますね。秋のしみじみした情緒とそこはかない物寂しさ。季題の秋思(しゅうし)はそんな意味です。



女案山子(めかかし)や乳房は忘れられをりし

先生に、女案山子という言葉は現代俳句協会であれば絶対に選ばれる句です。しかしホトトギスのような伝統俳句では選ばれないと評をいただきました。難しや。季題は案山子。



秋惜む風情もなきや多事多端(たじたたん)

秋は仕事で忙しく季節の移り変わりを愛でる心を無くしていた、そんな昔もありました。季題は秋惜む。去りゆく秋を惜しみます。